第17話 この世界の種族
最近魔術の勉強ばかりしていたので、気分転換に何か本でも読もうかとシオンは書物部屋に向かった。
書物部屋は相変わらず本特有の香りがして、どこか落ち着いた気持ちにさせられる。
適当に本棚を見て、ある一冊の本をシオンは手に取った。
それはこの世界に生息している種族が書かれている。
早速本を読み進める。
この世界の種族は大きく分けて五種族に分けられる。
まず、この世界で一番数が多い『ヒト族』。
そして主に森に住み、魔術が得意で耳がとがっていて寿命が数百年あるとされている『エルフ族』。
身長が低くて筋肉質、鍛冶が得意な『ドワーフ族』。
卓越した身体能力を持ち、体のどこかに動物の特徴がある『獣人族』。
身体能力が高い、又は魔法が得意な、頭に角が生えている『魔族』。
この五種族が、現在存在しているであろう種族だ。
因みに魔族に関してはこの大陸にいないとされている。
なんでも数百年前に魔族とヒト族との間で大規模な戦争があったので魔族とヒト族は別の大陸で暮らすようになったと言われている。
(俺が今まで見たことあるのは獣人とドワーフぐらいか…)
エルフは森で閉鎖的な生活をしており、魔族は別大陸にいるとされているので一度もお目にかかったことはない。
そして魔族に敵対の意思を見せているのはこの大陸に根付いている宗教、アルマテレス教である。
(胡散臭い……)
その者たちが言うには魔族は野蛮で暴力的だと言われているが、魔族なんて見たことないし真実は分からない。
それに――――――こういう話は何か裏があると相場が決まっている。
シオンはは千年前に起きた魔族とヒト族の戦争が気になったのでそれが詳しく書いてある本を読む。
本の中では次のようなことになっている。
曰く、魔族には邪悪な魔王という存在がいた。
曰く、ヒト族は邪悪な魔王を討ち倒そうとした。
曰く、魔族は卑劣な手段でヒト族の住処を侵略していった。
などなど。
明らかに魔族が悪でヒト族が善といったように記されている。
当時の魔王の名前は『ヴィシャス』。
なんともまあ英語でこのような単語を聞いた覚えもあるが……。
その配下に四天王と呼ばれる強力な魔族がいたのだと言われている。
身体能力に優れ、火魔術の使い手。
魔術に精通していいてあらゆる魔術の使い手。
古代に失われた魔術の一つ『死霊術』の使い手。
卓越した頭脳と戦術眼を持ち、戦争の司令官。
この四人が魔王四天王だと、この本ないしはヒト族の間で伝わっている。
正直魔王だとか四天王だとかどこのラノベだよと言いたくなるが、これが真実だろうが虚偽だろうが、別の大陸にいるので出会うことがないと思うのであまり考える必要はない。
(……これってフラグにならないよな…?この歴史が嘘で本当はヒト族が悪くて復讐の機会をうかがっているとかやめてくれよ?)
まあ千年も経っているのでそれが真実なのかわからない。
アルマテレス教が都合のいいように改変したのかもしれないし、千年の間で異なる事実が伝わっているのかもしれない。
この本に記述されていたのはこの程度の情報だ。
それはそうとしていつかエルフ族には会ってみたい。
ヒト族とはまた違った魔術体系があるだろうからそれを教えてもらえば、現在研究している魔術理論がさらに強くなるかもしれないからだ。
正直ヒト族の魔術は数多ある現象を、八つの属性に分けているに過ぎない。
必ずこの属性に外れる魔術はあるだろうし、この前開発した重力魔術ももしかしたら闇属性ではないのかもしれない。
属性には素質というものがある。
これは魔力を属性に変換するときの能力がどれだけあるかというものだと思っている。
その能力が弱かったらいくら体内魔力量が多くても、規模の大きい属性魔術を使えない。
このような魔術理論はヒト族の中での話だ。
他の種族にはこの素質を伸ばす技術があるのかもしれない。
このような可能性があるので今後様々な種族とかかわり、その種族の魔術体系を勉強したいと思っているのだ。
(ん?というか明後日王都に出発じゃね…?
めんどくさっ!)
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