白銀の魔術師〜転生したから魔術を極める〜

文月紲

第1話 異世界転生

に邪魔されるかもしれない」


「邪魔されたらどうなるんだ?」


「使命を忘れるんだ」


「どうにかできないのか?」


「…一つだけある」


「それは?」


の干渉を跳ね返すほどの感情を抱けば可能かもしれない」


「感情?」


「そう。激しい憎悪。はちきれるほどの悲観」


「なんかマイナスな感情だけじゃないか?」


「これはそういうものなんだ。プラスの感情よりマイナスの感情の方がいいのさ」


「じゃあその感情を俺が抱けば思い出すのか」


「うん。ほぼ確実に」


「……間に合うのか?」


「そこは賭けだね。ただ…僕の目で見る限りは間に合うはずだ」


「なら大丈夫か」


「…本当にいいのかい?キミは偶々選ばれただけなんだよ?」


「別に構わない」


「ならいいさ。じゃあ頼んだよ」


「ああ、任せろ」




***




 転生した。

 彼がそう気が付いたのは何時だったか。


 地球という星の日本という国。

 そこで生きた男の記憶がある。


 彼は初めは混乱した。

 幼児という中身がほとんど入っていないはずの記憶に、別の人間の記憶が入っている。


 はっきり言って大した人生ではない。


 だが、自分は何者なのか、自分という存在は何なのか。


 彼は悩んだが、記憶の中に異世界転生という単語があるのに気が付いて理解した。


 ああ、自分は異世界転生をしたのだと。


 ならば第二の人生を楽しもう。


 折角空想上の産物でしかなかった魔術というものがあるのだから。


 彼―シオン・フォードレインは思った。


 


 

――――――――――――――


3/5改稿

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