第10話

 子分Aと善人兄貴の名前を聞いた。


「俺はジャガだ!」


 何かゴロゴロしてそうな名前だ。


「俺はオムニっす!」


 うむ、何処かの国で全てのを意味する言葉だった気がする。


 こいつ間諜やってそうだからある意味オールラウンダーなんだろうな。

 影から下っ端までなんでもござれって意味だと感じる。


「それで、俺の意見はどう思う? 奴隷にする位なら教育……

お前らアホの教育だと暴力とか性格とか下の世話の教育しか出来んだろうけど。

 俺が言ってるのは文字や計算の教育だ」



 ジャガよ……下の世話で赤くなるなよ。


「ふむ、なるほどっすね!教える事が出来る人が何処にいるっすか? 」


 おいおい酷いじゃないか!ここに居るだろ?

 あら?マジで気付いてないのか?


「文字はこの国の文字が読めるか分からんが計算なら俺が教えるぞ? 」


「え!?マジっすか!?あんなに強いのに……」


「強いと脳筋なのか……」


 ちょっと呆れた。そしてその言葉は弱くても当てはまるのではないか?


 俺はジャガに視線を向けると話に着いてこれずにポケーっとしている。


「オムニ、強いとバカは無いだろ? 後ろに例外が居るじゃないか!? 」


 オムニは後ろを振り返るとアチャーって顔すんなよ……


「これはお人好しのバカっすから何とも言えないっす!」


 ジャガイモ、お前の評価ゴミだぞ? 裏社会に生きてるのに善人評価って

 足洗った方をオススメするぞ。すぐにメアリー共々奴隷に落ちるだろうけど。


 俺達はそう話してる内に『貸金屋ハナビ』という店名の看板を指さされた。


 ……? ……読めん。 終わった。


 まぁ、良いか。

 オムニとジャガが扉を開けて入って行くと……すぐにジャガがぶっ飛んで来た。


 俺はサッと避ける。


「誰が、あの親父の娘からこんな大金をくすねて来いって言ったんだよ!

 あの娘に父親が近付けない様に貼り付けって言ったろ!? 」


 異世界クリーンですか? (2回目)


 そう言って扉から出てきたのは赤髪に前髪だけ金髪の独特な、ファイヤーカラーの女性だった。


 一昔前の例えだと遊戯お……辞めとこう。

 怒られそうだ。


「ハナビの姐さん!こいつジャクって言うんスよ!

 俺より強くて、メアリーの借金肩代わりしてボンクラに輿入れすれば良いじゃないかって言ってたッス!」


 ほう、売ったな? オムニよ……貴様後でパシリ決定だ!

そして、ボンクラってジャガの事だよな? 思いっきりバカにしてた本音出てるぞ腹黒オムニよ。


 俺は目を細めて睨み薄く笑う。


「ヒッ!」


 女性の後ろに隠れるなよ。


「へぇ、中々強そうだね? それでアンタ肩代わりした代金分体で払うってのかい? 」


 うん? 何か噛み合ってないぞ? おい!オムニ絶妙に噛み合わない会話に

やべっ!って顔しても遅いからな?


 俺はニヤリと笑う。


「ん? 踏み倒すに決まってるだろ? そもそもメアリーの父親の借金は父親の借金だ。

 払うのはメアリーの父親本人だろ?

 何だ? 俺が払わなかったら雑用奴隷行きとか訳分からん事抜かす割にはアホだな?お前ら。

 取り立ても出来ないのに金かしたのか?」


 あ、ハナビとかいう奴はキレたな。


「ふ、ふざけんじゃないわよ!『ファイアー「遅いよ?」ンがっ」


 俺はサップで顎を振り抜いた。危ねー!いきなりこんな所で魔法ぶっぱなすとかイカれてる。


 そしてコソコソと逃げようとしたオムニの肩を掴む。


「イダッイダダダダ。痛いっス!」


「借金分の金支払ってるのに争わせた罰?」


 俺はちょっとしたイタズラしてる。


「何で!疑問形ッスか!?」


「知らん。そしてゴロゴロ気絶してる芋野郎はお前が運べ。俺はちょっと柔らかそうな赤髪を運ぶから。

 迷惑掛けられたんだから多少のラッキースケベは許されるだろ」


「確信犯ッス!ずるいッス!」


「あー柔らかい。素敵。性格が良ければ美人何だけどなぁ」


「何で胸側を肩に乗せるッスか!?」


「さぁ中で話そう!家主でも何でもない部外者だけど。知らんけど」


「姐さん起きてぇぇー!」


 ふふふ!Dの称号を持つ俺+数ヶ月振りの異性の体温と肌は刺激が強過ぎて俺にはまだ早い様だ。


 鼻血が出そうだ……

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