第4話

 ゴブリンの村に住み始めてからゴブリン達の進化が止まらない……


 ゴブリンと言えば緑色の肌にブヨブヨとした汚いイボがあって近付きたくなかったのだが。


 今やそんな面影すらない。

 あれ皮膚病だったのかよ!?と要らん知識が増えた事に悲しくなってしまった。


 そして……


『主様、本日は料理班より教えを授けて欲しいと願い出ております』


 キャスターの進化も止まらない。

 いやー『グギャギャ』言うてた時が懐かしいなぁ。


「あぁ!肉と野菜はあるんだな?」


 キャスターは頷く。

 想像して欲しい、ある日同じテントで寝ていたゴブリンの肌が普通に肌色になったらドン引きだろ?


 キャスターは壁?を超えて進化した結果鬼?になったっぽい。


 そして念話を使える様になり意思の疎通所か会話が出来る様になった。


 最初の念話がこれだ。


『主様のご慧眼により私めはこの度進化する事が出来ました。

 主様に忠誠を誓わして頂きます』


 ドン引きだよ……適当に「へいへいほー」って返事しといたよ。


 俺はキャスターに言われた通りに炊き出し場に向かうと

 白い帽子を被った身長170cm位のゴブリンが俺を見つけ手をあげる。


「おはよう!じゃあ早速始めようか?」


 魔物進化が劇的過ぎて突っ込むのに疲れてしまった。


 今や、農業をするのに適したファームゴブリン


 コックゴブリン、ブラックスミスゴブリン、ゴブリンヒーラーまで居る始末だ。


 最弱故に生き残る為に必死だった為か

 教えた知識や技術を吸収する速度が化け物だった。


 そして進化すると面白いのが、服装や装備が進化時の魔力によって生成されるという事だ。


 ゴブリンの村は俺が来た時と比べると見違える程発展した。

 

 多分普通に人族の旅人が来たら立ち寄ろうと向かって来るだろうというレベルだった。

 寄らないでよ?多分食われるぞ?


 俺のアニメ・漫画知識の中にあるゴブリンの村って言えば崩れかけのボロボロの建物に住んでるか、洞窟・穴蔵に住んでるイメージだったんだけどな。


 完全にイメージダイナマイトで破壊されたわ。


 どこの世界のゴブリンが村を覆う木の柵の上から弓が引ける様に設計するんだろうな。


 いや訂正しよう、キャスターにこんな感じで防護壁やお堀があると守りやすいよ?と冗談半分で伝えたらすぐに建設を始めていた。


『主様流石でございます!』


 全幅の信頼を寄せられるのが怖いよ。


 そして元々人間の村で畑もあったおかげか?

 そのまま放置されていたせいかは知らんけど

 普通に野菜や麦が植えられていたのを俺は確認して食べれると説明して

 ゴブリンアーチャーやゴブリンアサシンが狩って来たイノシシと一緒に調理したら崇められたんだよ。


 そしてゴブリンの悪食って凄いなって感じたんだが


「辛い実や爽やかな葉っぱのハーブがあればなぁ」


 何て呟いた日には次の日には食べた事がある奴がそれを近くの森や平原から確保してくるんだよ。


 しっかり塩も採れる場所認識してるしな。


「よし!そういえば今日は小麦粉が出来てるな?

塩もあるしうどんを作ろう!」


 俺とコックゴブリンは2人で捏ねる捏ねる捏ねる。


 3日前に胡椒の実を持ってきた時は笑ったよ。

 そしてキャスターに「これ乾燥出来る?」って聞いたら試行錯誤して昨日持ってきたのにも。


「コック?これは胡椒と言ってね?

この黒い実の出所はキャスターに聞いてね?」


「ンギャ!」


 コックゴブリンは頷いて聞いてくれる。



「昨日用意して貰ったこの石臼で潰すとほら匂いを嗅いでみて?

鼻がムズムズするだろう?


 これを料理に使うと美味しいんだ!

 塩と一緒に使うともっと美味しくなるから使おうね?」



 俺達はそうしてこの世界では初めてなのかもしれないが『塩焼きうどん』を作る。


 村の皆からは大好評だった。

 岩塩が豊富にある為に干し肉や最近はコックゴブリンのおかげで飯が美味いと


 狩りにも気合いが入ってるらしく余りがちの肉を燻製で保存出来ると教えた。


 胡椒やハーブがあるからとイノシシが手に入った事に喜びソーセージを作った時に一緒に燻製肉を作ったんだけど……


 今や毎日誰かが狩って来た獲物の腸を綺麗に洗ってる奴をよく見かける。


 今日も平和ですね……未だに1人も人間みてねぇけどな?

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