奇談 ピニャータ

︽ teller∦ɹǝllǝʇ ︾

また1人

 僕の町では秋になると大人も子供も集まって、ハロウィンをする。その時、子供達でピニャータを割るんだ。みんな中のお菓子が欲しくて欲しくて、でも僕はあまり興味が無い。

 こんなの早く終わればいいのに、めんどくさいなと思ってたら、見たことない黒いスーツの背の高い男の人が居た。顔は見えない。

 気になってみてるとみんなの居る場所に指を鳴らした。僕はイヤホンを付けてゲームをしていたから聞こえなかったけど指がそーゆー形だったから指を鳴らしたんだろうなと思った。

 次の瞬間、僕は驚きと怖さで震えた。なんと、その男の人が手足を背中側に縛られて、口が縫い合わされ、お腹が異常に膨れた隣の家のみほちゃんを持ってきて、木に括りつけた。

 みほちゃんを助けたいけど、怖くて動けなくて、足がガタガタと鳴ってる。しかもみんなの様子がおかしい、みんなみほちゃんをピニャータだと思ってる。止めたいけど、止めたいけど、でも怖くて足が動かない…なんで、なんで、こんな時に動かないんだと悔し涙を浮かべ、次は自分なのではと怯えているうちにみほちゃんはみんなに木の棒で叩かれてお腹がもう赤く腫れている。

 みんなの輪の外で悔しさと怖さで声もなく泣いていたら、さっきの黒い男の人が来た…もうダメだ僕もピニャータにされるんだ、と思っていたら、彼は僕のイヤホンを耳から外すとパチンと指を鳴らした、キィーンと耳鳴りがする。

 あ、ピニャータ僕も割りに行かなきゃ。

僕はピニャータをみんなで割って中から出てきたお菓子をたくさん食べた。甘くて美味しかった。でもちょっとだけしょっぱかった。


 口は真っ赤。

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