第34話 医師が刺された
福岡の病院で医師が患者に刺されたという。
刺した人間の動機も含め事情は全くわからない。
だから軽々しくなんか書いてはいけないのだけれど、長年病院通いしている人間として、そして両親の入院生活の世話もした人間として感じていることを書いてみたい。
医師は大変だと思う。毎日たくさんの患者を診なきゃいけない。軽傷な患者から緊急を要する患者まで様々だ。その苦労、心労は大変だと心から思う。
一方でこうも感じる。今病気で辛い状態である患者にとってその辛さから逃れたいということしかない。その患者の世界は辛さが充満していて一刻も早く逃れたいという一心だ。けれど医師にとってはワンオブゼムなのだ。似たような状態の患者は山のようにいるのだ。緊急性、リスクの低い患者も一杯来るのだ。
ここに患者と医師の心理的距離が生じている。患者にとって世界を埋め尽くしている辛さと医師としての客観的判断にずれが生じる。医師から見れば重い症状ではなくとも患者にとってその瞬間の辛さは世界全体を暗いものとしてしまう。
だから医師は患者の身になって考えろとは思わない。医師にだって限界はある。そもそも辛さというのはその患者自身にしかわからないし、伝えるのはまず不可能だ。
僕は患者と医師の心理的距離は理解しているつもりだ。でもどうすればいいということはわからない。
人間は必ず死ぬ。死はいつ来るかわからない。いつ来てもおかしくない。そのことを踏まえて生きていこうと思っている。
そしてできるならば、心理的距離の近い医師に巡り合えたらと思っている。
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