第16話 尊厳死宣言公正証書
3年前尊厳死宣言公正証書を作った。
そもそも生きるとは何なんだろうと思う。
自分の意志で身体を動かせない。食事もできない。排泄もできない。これをどう考えればいいんだろう。
惚けてしまって自分が何をしているかわからない。これって「自分が生きている」ということなんだろうか。
僕はこのような状態で生きていたいとはどうしても思えない。このような状態となった自分の世話のために他人を煩わせるのは避けたいと強く思う。
両親を見送ったが、二人とも死の前の1年間だけだったが、僕自身の体調も優れず仕事も多忙で正直こちらが参ってしまいそうだった。
尊厳死は日本の法律上はグレーのようだ。しかし、配慮してくれる病院、医師も増えているという。
ただ、尊厳死宣言公正証書は平たく言えば「延命措置」をしないでくれということなので、惚けてしまったり単に老いて寝たきりになっただけでは死ぬことはできない。
だから僕の希望が完全に充足される訳ではない。
けれど無いよりはいい。
この身体の始末についてはこれからも知恵を絞って行こうと思っている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます