カナリア船長の航海日誌

5月25日

《雨 昨日より落ち着いている》

　今朝の時点で13人から脱退を希望された。希望とは言っても、ぼくには止められそうにないので確定である。これで、ジョンブリアン結成当時からいる航海士、それと船医まで失うことになる。今後ちゃんとやっていけるのかな。

　13人は次の島で下ろす。そこからどう生きていくかは、彼らが決めることだ。これからの役に立ててもらうために餞別を渡そうと、宝物庫を確認しにいった。13人分を引いても充分に残る。こんなものしか渡せないけれど、彼らの旅路がこれからも輝かしいものになると、ぼくも嬉しい。

　宝物庫の鍵は船長のぼくと、副船長のサンディだけが持っている。そういえば、彼は残ると決めたようだ。「行く宛てなんてないからな」とサンディは言った。ぼくを認めたわけではないみたい。残る8人も似たり寄ったりな理由だろう。それでも構わない。今はね。