罰ゲーム(尾根産)
「サラブレッド始祖三頭と言えばゴドルフィンアラビアン、ダーレーアラビアン、もう一頭は?」
「「バイアリーターク」」
「初の米国三冠馬は何年生まれ?」
「「1916年」」
「世界一過酷な障害競走であるグランドナショナルが開催される競馬場は?」
「「エイントリー競馬場」」
お互いがお互い一歩も譲らずに答えを当てるため、現在十九問目だが同点のまま最終問題になってしまった。
ちなみに高校生組は六問目ぐらいでわからなくなり、沼付さんに回答権を譲った。
「お二人ともすごいですね。次が最終問題なので、とびっきり難しいものを用意しました!」
「君の好きな食べ物とかだったら、レジェンのぬいぐるみが亜音速で蹴りを入れるよ?」
「大丈夫です! 僕のじゃありません!」
「そういうことじゃないんだよなぁ」
俺の発言で沼付さんと女子高生の三人組は困ったように笑う。
「それでは最終問題! グリゼルダレジェン号の大好物とはいったい何でしょうか!」
お、忖度か? 山田君、小賢しい社会人パワー出してる?
「あ、私わかります」
ほむらちゃんがスラスラとスケッチブックに書き込んでいく。おい、忖度失敗してんじゃないか。
答えは高級メロン、もしくはレモンをかけたレタスだね。レジェンはメロンは高くて糖度が高くないと嫌がるグルメなのだ。
これはあれか? 俺にボケろって合図出してるのか山田君? そういう空気は読まないぞ俺は。
「それではお答えをどうぞ!」
「メロンです」
「高級メロンとレモンかけたレタス」
「おおっと! ここで割れました! 正解は……。
高級メロンとレモンをかけたレタス! 社長のみ正解です!」
勝ち申した。
「高級じゃないとダメなんですか?」
沼付さんが尋ねてきたのでレジェンのことについて教えてあげる。
「山田君が安物を与えたら、前足でちゃうちゃうってツッコまれてましたよ」
「そうなんですか。やっぱ名馬ってのは変わってるんですね」
「ちなみにシースタイルもレモンが大好物だそうですよ。ジャパンカップでレジェンの分を分けてあげましたから」
俺の情報に山田君が目を輝かせる。
「あ、なんかすごい競馬番組っぽいです!」
「そんな高尚なもんじゃないでしょ……。クイズだって調べればわかることばっかだし」
俺が知識をひけらかしてるだけだよ。
「そんなことないですよ! 鈴鹿さんがすごく勉強してること私たち知ってますから!」
「そうです! 家が書籍で埋まってるから隣の空き部屋で最近寝てるの尊敬してますから!」
ほむらちゃん称えるふりして刺してきてない?
「社長、流石にそれだけ本を抱えるのはどうかと思います」
「やめろ、山田君に注意されるのが一番効くから」
俺と君が桜花牧場のアホ担当だろ!?
「あ、罰ゲームはお三方ですね。実は尾根さんから栄養ドリンクを預かってきてるんで、それを飲んでもらいますね」
会議室に備え付けてある小型の冷蔵庫からラベルをはがした二リットルのペットボトルが出てくる。薄紫色してますが? 人体が摂取していい色じゃないけど?
「えー、ケールにゴーヤに……、健康に良い野菜を混ぜて馬に与えているスポドリを薄めたものを加えたものだそうです」
あー、足立さんの時の臨床データ使ってドリンクにしたのか。
健康にはなるな。健康にはな。
「それでは三人とも一気にどうぞ!」
「う……、いただきます!」
「南無三!」
「健康には気を使ってるんですけどね……」
三人が一気にショットサイズのグラスに注がれた栄養ドリンクを飲み干す。
結果は……。
まぁ、普通の飲料水が大量に必要だったよ。
臭いすごかったもんなぁ。
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