東京11レース、左回り、2400メートル、第100回牝馬優駿オークス
『スタンド正面左に今年の優駿である牝馬たちが続々とゲート入りしております。
1枠1番バラクックル、鞍上はベテラン館岡騎手。
2枠3番パワーワルツ、主戦の幸永騎手が乗っております。
3枠5番カキアタリ、4枠7番サンライトダンス、それぞれ乗り替わりで春川騎手と六順騎手。
5枠9番、6枠11番にヒャクモノガタリとフラッシュリード入ります。
今日の主役はこの馬、7枠13番グリゼルダレジェン。枠入りと同時に拍手が起こります。
7枠15番のストロングダーリン、8枠の17番レディシェリー入って奇数番が順調に収まりました。
続いて2番フェイム、4番ミハタドリ、6番ゲットラグタイム、8番ヤマトリップス、10番コウフクショウメイ、12番エボルブ! おぉっと、暴れました12番エボルブマリン。乗り替わりで気が立っているのか? 一度ゲートから離れてグルリと輪をかいております。14番グレイトフルエリーが先に収まりました。16番レリーコマンドもゲートに入って…。エボルブマリンも続く。場内に拍手が起こります。
最後に18番シドニィシティがゲートイン! 第100回牝馬優駿オークス! ゲートが開いた!!
まずハナを進むのは好スタートを切った2番フェイム。続いて6番ゲットラグタイム、10番コウフクショウメイ、12番エボルブマリンが先頭集団。そのすぐ後ろに14番グレイトフルエリー、11番フラッシュリード、7番サンライトダンス、少し遅れて並んで内に4番ミハタドリ、外に5番カキアタリ。ここまでが先行集団です。中団には団子状態でパワーワルツ、ヤマトリップス、ヒャクモノガタリ、シドニィシティ、レリーコマンド、ストロングダーリン。後方にはレディシェリー、バラクックル。そして最後方に1番人気グリゼルダレジェン定位置です。
さあ、順位が変わらないまま最初の直線が終わり第一コーナーへ!
各馬粛々とコーナーを回りペースをキープする。ターフには蹄鉄が芝生を叩く音が響いております。各馬動きを見せないまま第二コーナーを回り終えて向こう正面の直線へ!
1000メートル通過時のタイムは59秒6! 平均ペースです!
おっと、早じかけかヤマトリップスが先行集団まで上がってきている。負けじとヒャクモノガタリも鞭が入った! 1200メートルからの下り坂を利用して加速するつもりか!? 仕掛けにかかったのかレリーコマンドとシドニィシティも前へ前へと詰めてくる! 詰まりすぎでコーナーで大きく膨れた! これはまずい! 先行集団がバラけて内埒がガラ空きだ! 来るぞ来るぞアイツが来るぞ! それ見たことかグリゼルダレジェンが足を使ってあっという間に先行集団をごぼう抜き! 同時にコーナーも抜けて残り500メートル! 頭一つ出ていたグレイトフルエリーがハナを奪いグングンと突き進む! 残り400! グリゼルダレジェンがその後ろを芝を抉り飛ばしながら猛追だ! 5馬身! 4馬身! 3馬身! 残り200! 2馬身差! もう距離がない! 浅井の夢か! 吉の意地か! 今並んでゴールイン!! これは写真判定だ!! 続けてバラクックルがゴールイン! エボルブマリンとゲットラグタイムが並んでゴールイン! こちらも写真判定です。お手持ちの投票券は捨てずにお持ちください。
最終直線、見事な競り合いでした。グレイトフルエリーがクタクタの様子のまま結果を見るために待機しております。それに比べグリゼルダレジェンはまだまだ余裕がありそうです。これがオーナーの言っていた適性の差なのでしょうか。
おっと、ここで結果が出ました! 13番! グリゼルダレジェンがクビ差で勝利! やはりこの馬は強い! そして惜しくも敗れたグレイトフルエリー、彼女も間違いなく今年の牝馬を代表する優駿であります!
ーーー皆様聞こえますでしょうか! この東京競馬場に鳴り響く浅井コールが!
二十二万五千人の観客からのコールで東京競馬場は揺れています! 浅井騎手! おめでとう!』
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「浅井騎手、優駿牝馬初優勝おめでとうございます!」
「ありがとうございます」
「グリゼルダレジェンは初めての2400メートルでしたが発走前の心境はいかがでしたか?」
「そうですね、追い切りの感覚からしてマイル戦よりはかなり自由度のある走りができると思いましたね」
「自由度のある走りとおっしゃいますと?」
「グリちゃんは足が極めて速く、スタミナが多いので、マイル戦だと脚が余って高速戦になってしまってたんですね。
これがよろしくなくて、グリちゃんもそれに合わせる他の馬も故障するリスクが跳ね上がってしまうので後ろから中盤にグッと抜く戦法しか取れなかったんです」
「なるほど、強者故の苦痛と言うわけですね。
とは言えレアシンジュと大逃げで競ったこともありましたが?」
「あれはどうせハイペースになるから一回全部体力を使うことをグリちゃんに教えようってオーナーからの指示です。
それが功を奏したのかペースキープは上手くなりましたね」
「そうなんですね。あ、すみません。レースの話に戻ります。
レース終盤に内埒に突っ込んで行かれましたがアレは作戦ですか?」
「そうです。羅田先生と鈴鹿オーナーと相談して絶対に最終コーナーで内埒が空くから恐れず突っ込めと。
結果そうなったので言葉通りにしました」
「相変わらずの陣営の作戦ですね。今回はいつものように突き放しての勝利ではなかったのですがこれも作戦ですか?」
「はい、来週に向けて負けないギリギリの力で勝ってこいと口酸っぱく言われました」
「来週とは…。東京優駿ですか?」
「皆さんパフォーマンスだと思われてると思うんですけど、陣営は本気です。
そのために今日この日のために羅田先生はグリちゃんをメイチに仕上げましたし、オーナーも来週の11Rまでグリちゃんに付きっきりでフォローするとおっしゃってました。
宣言します、グリゼルダレジェンは来週の東京優駿日本ダービーに出走いたします!」
「おお、凄いフラッシュです。それでは浅井騎手、最後に東京優駿に向けて一言お願いします」
「はい! グリゼルダレジェンは来週、誰も越えられない伝説になります! 応援お願いします!」
「浅井騎手でした! ありがとうございました! 大きな拍手でお送りください!」
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