第37話 模擬戦③(改)
サーシャとソフィアの試合が終わり、とうとう俺とアイカの試合となった。
「アルト、お互い本気で戦いましょうね?絶対ですよ?手加減したら許しませんからね?」
あ……これは手を抜こうとしてるのバレてる感じだな。
「も、勿論本気で戦うよ!」
制限をかけたままの本気でね。
全力とは言われてないからな。
「ならよかったです……。じゃないと死んでしまうので……」
え"っ?なんで本気でしないと死んじゃうの?
怖いんですけど……今からでも棄権してもいいですかね?
今更ながらに戦いたくないと思うがもう遅い気がするので諦めて結界内に入る。
「両者準備はいいか?」
良くないです、出来ればもうやめたいんですけど……。
「はい!大丈夫です!!」
俺は大丈夫じゃないです。
勘弁してください、試合が始まる前に棄権したいんですが。
「アルト、準備いいか?」
大丈夫、俺は強い。
それに結界内だから死ぬことはないし、死にそうな思いはこれまでも何度もしてきた。
きっと大丈夫だ。
そう言い聞かせて返事をする。
「はい大丈夫です」
「よし、それでは……スタート!!」
そう言われた瞬間俺は【身体強化】を900%で発動する。
そして【精密感知】も発動させて、アイカの出方を伺う。
するとどうやらアイカは【身体強化】すら使っていない。
どう言うことだ?
俺に本気でやれって言ったくせに舐めプか?
だけどアイカと話していてそんなことをする人だとは考えにくい。
なら何かあるのか?
俺は【魔力視】も発動させしっかり観察する。
しかしアイカは一向に【身体強化】を使わない。
「アイカは【身体強化】使わないのか?」
「ええ、私は使いません。使わないでもいいと言った方がいいかもしれません」
使わないでもいいだと?
俺が訝しんでいるとその答え合わせをしてくれた。
「スキル【勇者】発動!!」
そう言った瞬間にアイカの周りに青いオーラが出てくる。
これはどう言うことだ?
あのオーラは魔力じゃないことしかわからない。
俺は試しに《魔銃ペネトレーション改》を発砲して反応を見る。
「……はっ!!」
すると俺が放った弾丸を腰に下げてあった斬ってしまった。
は?斬るだと?
そんなこと今ままでされたことないんだけど。
これでも1番速い弾丸だし、この弾丸は魔鉄並みの強度のはずなんだけどなぁ。
俺は弾丸にも【加速】を付与し、再び撃つ。
今度は斬られず跳ね返された。
アイカは少し驚いている。
「凄いですね、先ほどの攻撃。私が斬れなかった飛び道具は、あれが初めてですよ。ただアルトはまだ全然本気ではないでしょう?」
やっぱりバレてるのか……。
ただ本当にこれは本気出さないとヤバいから一気に制限下での本気を出すか。
俺は【身体強化】を1500%まで上昇させ《魔銃エクスプロード改》も構え弾丸と本体に【加速】を付与させ、自分にも【加速】を付与する。
「よし、これで本気だ。それじゃあ俺も行くぞ」
俺はそう言い終わらないうちにアイカの懐に入り、2つの銃の引き金を引く。
いつもよりも大きな発砲音と共に弾丸が飛んでいく。
そして俺は撃った瞬間に素早く離れる。
その瞬間。
爆裂弾が破裂して物凄く体に堪える爆発音が響く。
その衝撃でアイカが吹っ飛んでいく。
俺はアイカの飛ばされている方向に回り込み、発砲。
するとまたもや当たり、爆裂弾が爆発する。
アイカはモロに受けたため、壁に激突した。
しかしアイカはすぐに立ち上がり、俺を褒め出す。
「凄いですねアルト!私がこんなに怪我をしたのは初めてですよ!」
そう言ってるくせに爆裂弾が当たったところが少し血が出てるだけじゃないか。
それ以外は無傷なのだ。
俺はなぜこんなに強くなったのか聞く。
「なんでこんなに耐久力が上がったんだ?」
「それはですね、【勇者】のスキルは、自分の全てを底上げしてくれるのですよ。ですから、今私の反射神経も脳の処理速度も上がっていて、一瞬で魔法が使えます」
そういうと、本当に一瞬で【ファイアアロー】を無詠唱で撃ってきた。
あぶなっ!
俺は銃を撃って相殺させる。
てか、なんで【ファイアアロー】ごときで相殺なんだよ。
化け物級の威力じゃないか。
俺が驚いているとアイカがいつも通りに話しかけてきた。
「それじゃあ、これから私も攻撃することにします。耐えてくださいね?」
そう言われた瞬間、俺でもギリギリ見えるくらいの速度で背後を取られ蹴りを入れられ、吹っ飛ばされる。
「ぐっ!?」
ただの蹴りのはずなんだけど、めっちゃ痛い。
さらにさっき俺がやったように、俺が飛ばされた所に先回りして今度はパンチを顔面に喰らう。
痛ってなぁこれはマジで痛い。
俺の頬がめっちゃジンジンする。
これはマジで手加減なんかしてたら死んでしまう。
「どうしたんですか?そのくらいなんてことないでしょう?」
なんかめっちゃイラッとくるな。
俺はゆっくり起き上がって考える。
あーこれは攻撃を受けてもアウトなやつだ。
うん、全力でいこう。
「よし、なら久しぶりの全力を見してやる!!」
「わぁ!楽しみです!」
おい、相手が全力になるのが楽しみって、絶対に戦闘狂じゃないか。
俺は戦闘狂が大嫌いなんだよ!
いい思い出が全くないからな!
「ああもう!
その瞬間、俺から魔力が吹き荒れる。
そしてその風圧だけでアイカを少しぶっ飛ばす。
吹っ飛ばされたアイカは。
「凄い凄い!!こんな魔力見たことないよ!!」
敬語も忘れて興奮している。
さっさと終わらせないと俺のメンタルが死んでしまう。
俺は更に相棒の2つの銃の制限を外し、【魔力吸収】も使って魔力を吸収させる。
更に更に【身体強化】を限界の1800%まで出力を上げ、【部分強化】を目に施して、誰にもわからないくらいの速さで発砲。
すると2つの漆黒と白銀のレーザーが亜光速でアイカに飛んでいく。
アイカは【身体強化】を発動させるが、流石に亜光速のものは捉えられないようだ。
まぁただ単にアイカの【身体強化】がお粗末なだけだけど。
きっと今まで使わなくても勝てていたんだろうな。
3歳から【身体強化】を使っている俺からしてみれば、お粗末としか言いようがないできである。
俺は更に4発撃ちアイカの四肢に当てる。
するとまさかの貫くことができなかった。
なっ、固すぎだろう!
これは上級魔法の最高位くらいの威力があるのに。
「これが痛みなのですね……私もスキルをどんどん使っていきましょう!【勇者】スキル
その瞬間何もない空間から光が溢れ出し、収まると空中に一本の物凄く綺麗で強い魔力を持った剣が浮遊していた。
それをアイカが取ると、アイカの四肢が回復して更に身体能力が強化される。
「これが私の全力です!長く持たないのでさっさと決めましょう!」
そう言った瞬間、俺の全力に近い速度で接近して、剣を振り下ろしてくる。
それはそれを真っ正面から銃で受け流す。
しかし、受け流したはずなのに《魔銃エクスプロード改》がひび割れる鈍い音がした。
なんなんだよ、あの聖剣は!
強すぎだろう!
これこそ本当のチートじゃないか!
絶対昔の勇者が神に貰ったチートスキルだろ!(正解)
俺は悪態を突きながらも撃ちまくる。
だがアイカが強化されたせいで弾かれるようになってしまった。
これはヤバいな……。
しょうがない、奥の手を使うか…………。
俺は動くのをやめ、銃を魔法鞄に戻す。
そして2つの銃を作った時から何度も作りたいと思い、何度も試作してこの前やっと完成した《魔銃エクスレーション》を取り出す。
これは、《魔銃エクスプロード》と《魔銃ペネトレーション》の両方の特性を持つ銃である。
素材は純魔鉄と純ミスリルで作られており、この銃専用のマグナム弾を装填。
そして《魔銃エクスレーション》の制限を解除すると、俺の魔力を吸おうと漆黒と白銀の魔力が俺を包み込む。
魔力を吸い終わると俺に纏わり付いた魔力がなくなり、銃に集まる。
《魔銃エクスレーション》に先程とは比べ物にならない程の、濃い漆黒と白銀のオーラが発現した。
「これで決める!覚悟しろアイカッ!!」
「ええ、なら私ももう時間がないので、この一撃に全てを賭けます!」
2人の魔力が更に膨張する。
よし!この時を待っていた!
《魔銃エクスレーション》が俺の魔力を無限に吸い続けるため、銃に【魔力吸収】を付与して、空気中の魔力を吸収させる。
すると漆黒と白銀の魔力が俺の身体中に纏わり付く。
そして懐からミスリル製の弾丸を1つ取り出してセットする。
そして標準をアイカに定め、狙っていると先にアイカが準備できたようで。
「先手必勝ですよ!勇者専用剣技【天光斬】ッッ!!」
《聖剣エクスカリバー》から光の斬撃が放たれ、ものすごいスピードで俺に迫る。
しかし俺はそれに見向きもせず。
「【超越弾】」
俺から放たれた圧倒的な一撃が、【天光斬】を一瞬で消滅させてアイカを飲み込み大爆発。
今までの爆発音とは比べ物にならない音量と衝撃が俺達を襲う。
結界にあたる前に消滅させて、アイカを見ると、半身が吹っ飛んでいた。
「しょ、勝者アルト!!」
それを見たバナー先生は急いで宣言をし、アイカに駆け寄る。
そしてアイカが結界の外に出て、半身が復活したのを確認して意識を手放した。
------------------------
やっと模擬戦終わりました。
どうだったでしょうか?
この作品が面白い!まぁいいんじゃない?などと思っていただければ、☆☆☆→★★★にしていただけるとありがたいです!
☆☆☆→★☆☆でも作者は物凄く喜びます。
また、フォロー、感想、応援コメント、誤字脱字や改善点などを頂けると作者の励みになります。
ではではまた次話で。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます