第33話 クラス分けと自己紹介①
入学式が終わり、俺とサーシャはクラス分けが貼られている合否発表でも行った掲示板に向かっている。
ちなみにアナはもう家に帰った。
なぜなら、この学園はメイドや執事などの使用人を連れてはいけないからだ。
「サーシャ、この学園のクラスってどのくらいあるんだ?」
「えっとね……Sが1番上でその次にA~Fまであってね、入学試験の成績順に分けられると思うよ」
「なるほど……と言うことは俺とサーシャはSクラスか、あとソフィアも」
「多分そうなるね」
「そう言えばサーシャはソフィアと仲良くなったのか?」
サーシャが女友達と遊んでいるのを見たことがないからな。
まぁその理由はサーシャが可愛いから、他の令嬢がサーシャ避けているからだと思うが。
もしそうならソフィアはサーシャと同じくらい美少女だから友達になれると思うんだよ。
ん?なんで俺がここまで気にするかって?
それは勿論、俺が美少女達の百合をみたいか…………げふんげふんっ!サーシャに友達が出来たら俺も合法的に両手の花ができ……でもなくて、サーシャがより笑顔になりそうだからだ。
ん?なんだって?
俺の欲望が出過ぎだと?
やかましい。
考えてみろ、超絶美少女の2人が仲良くしているのをみると、濁りきった心が浄化されるだろ?
なんか神聖なものを見るような感じになるじゃないか。
百合は最高だ、これはみんなわかってくれるよな?
あわよくばソフィアも婚約者にしたいが。
まぁこれは大して期待していない。
イケメンなのにモテないからな俺。
決して性格も悪くないはずなんだけどなぁ……。
家柄だって公爵家だし、お金も持ってるし。
こんな優良物件なのになんでモテないのかな?(解、モテてはいるがサーシャがブロックしているため)
「うん!ソフィアちゃんとは毎日通信魔道具でお話ししてるよ!」
おおおおおっ!これは百合を見れる可能性大だぞ!
よし、もっとソフィアと仲良くなってもらって3人でどこかに遊びに行きたい。
そしてサーシャの横に俺とソフィアと言う並びで歩きたい。
そうすれば1番近くで百合が見れるからな。
「よかったよかった、もっと仲良くなってくれよ」
「……?うん!」
サーシャは少し意味がわからなかったらしいが、俺の願いのために頑張ってもらいたいものだ。
それからもサーシャと雑談していると掲示板についた。
え~と俺の名前は……あったあった、やっぱりSクラスだったな。
俺の名前の下にサーシャとソフィアの名前のあった。
「サーシャ、同じクラスだったな!」
「うん!ソフィアちゃんも一緒だったね!」
サーシャは、ソフィアもいるということでだいぶテンションが上がっていた。
これは思ったより早く百合を見れそうだな。
俺がほくそ笑んでいると。
「アルト!あそこにソフィアがいるよ!会いに行こう!」
そう言って俺の手を引いてずんずん進んでいく。
「ソフィアちゃん!」
「ん?サーシャ?」
「そうだよ!同じクラスだったね!」
「ええそうね。よかったわ、話ができる人が2人も居て」
サーシャはもちろんのこと、ソフィアも口調はいつも通りだが安堵の表情になっている。
兄が生徒会長だから親になにか言われていたのか?
兄が優秀だから自分に対するプレッシャーが凄くて辛いみたいなテンプレがあるのかな?
まぁやばくなったその時は、バラン国王になんとかしてもらおう。
俺だとカチコミに行くことくらいしかできないし。
べ、別に首を突っ込むのが面倒くさいってわけじゃないからな!
俺が心のなかで弁明していると、どうやら教室に行くことになったみたいだ。
「アルト、ソフィア!一緒に教室に行こう!」
「おう!」「ええ」
サーシャに言われ俺たちが返事をし、三人で移動する。
そしてその時俺は気付いてしまった。
サーシャとソフィアが仲良く話しながら並んで歩いているのだ。
こ、これはまさしく百合ッ!
眼福ですッッ!!
この後教室に着くまでずっと眺めていた。
まぁその間に俺は一回も話しかけられてないけど。
この世界に来てからは初めて、ボッチの気分になった。
やっぱりボッチは悲しいと改めて思った瞬間でした。
♦♦♦
教室に着くとすでに何人かの生徒が座っていた。
みんなバラバラに座っているので、どうやら席順は自由のようだ。
俺が教室の1番後ろの席につくと俺の右にサーシャ、左にソフィアが座った。
すると何人かの生徒が嫉妬の目を向けていることに気付く。
……ヤバい、優越感が物凄い。
見たか野郎ども、両手に花だいいだろう?
そう思ったのが伝わったのか更に視線が強くなった。
前世でもイケメンはこんな優越感に浸っていたんだなぁ……。
自分でも思うけど俺って結構性格悪い気がする。
そんな事を考えていると、続々と生徒が教室に入ってきた。
そう言えばSクラスって何人なんだろうか。
「サーシャ、このクラスって何人なんだ?」
「え?25人だけど……もしかしてちゃんと見なかった?」
え?どういうことだ?
俺の困惑が顔に出ていたのかソフィアが丁寧に教えてくれた。
「クラス表にちゃんと何人か書いてあったわよ。それに入学式でも先生方が言っていたじゃない。聞いてなかったでしょ」
「全く見ても聞いてもいませんでしたね、はい。教えていただきありがとうございます」
全く聞いていなかったことに対する罪悪感で思わず敬語になってしまい、サーシャとソフィアに笑われてしまった。
うう、こんな辱めを受けるくらいならちゃんと聞いていればよかったなぁ。
俺が少し後悔しているとなんとバナー先生が入ってきた。
まじかぁ……よりにもよってバナー先生か……。
俺は思わず顔をしかめる。
どうやら俺だけでなく、あの時一緒に手合わせした生徒たちは揃って俺と同じような顔になっていた。
やっぱりそうなるよなぁ……だってこの先生、絶対に戦闘狂だもん。
正直に言って嫌な予感しかしない。
「よーし、全員揃っているな!それじゃあ自己紹介から始めようか!」
おお、始めは普通だな。
他の人も安堵の表情になっている。
「よし!俺からしよう!俺はバナーといってこのクラスの担任を任されている!この学園で教師をやっているが、S級冒険者でもある。属性は風で、好きなことは、鍛錬と戦闘だ!よろしく!」
……うん思った通りの人だったな。
「それじゃあ次は生徒たちだ!主席のやつから言っていこうか!」
主席ってことは俺からじゃないか!
ええ……やだなぁ。
しかしこれに関してはどうしようもないので、立ち上がる。
「俺は、アルト・ガーディアンと言います。属性は無いので所謂【不適合者】です。しかし、魔力はイリア校長以外には負けないくらいの量があります。武器は自分のスキルで作った、銃という武器を使います。好きなことは武器を作ることと魔法を見ることです。よろしくお願いします」
拍手はバナー先生とサーシャとソフィアのみと。
まぁしょうがないか、【不適合者】だし。
いいもんっ!悲しくないし!前世の状態に似てるけど!
次はサーシャだ。
「私はサーシャ・フォン・ドラグーンと言います。一応この国の第2王女です。属性は、氷、水、雷、空間です。
好きなことは、婚約者のアルトと一緒に魔法の練習をすることです。よろしくお願いします」
今回はみんな拍手していた。
やっぱりこの格差はへこむなぁ……。
少し傷つきながらもサーシャを見ると、目がやばかった。
物凄い冷徹な目になっていただけど。
見なかったことにしよう……。
次にソフィアだ。
「私はソフィア・ゲイルと言います。属性は風です。よろしくお願いします」
なんかイメージ通りだったな。
次からいよいよ俺の知らない人たちの自己紹介だ。
金髪の爽やかイケメンが、こっちを見ながら話し始める。
「美しい女性方はじめまして、僕はアーサー・ブリッツだよ。僕の属性は雷で、好きなことは美しい女性達とはなすことさ。よろしくね?」
そう言って女子にウインクする。
するとサーシャやソフィアと一部の女子を除いたすべての女子が黄色い声をあげる。
逆に男子は、
(((((((((……おえっ、きもちわるっ。ナルシストかよ)))))))))
と思い、口元を抑える。
バナー先生も一緒になってやっていた。
いや、わかるけどあんた教師だろうに。
もしかしたらこのクラスのは癖の強いやつが多いのかもしれない。
密かにテンションの下がった俺だった。
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長くなりすぎたので二話に分けました。
次の話は新キャラばかりです。
お楽しみに!
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