ある回答

仲仁へび(旧:離久)

第1話



 その日はテストだった。


 始まりのチャイムが鳴って、先生が来て、テスト用紙が配られて。


 そしてよーいはじめ、で紙をめくって解いていた。


 でも、英語のテスト問題を解いていたら、びっくりしてしまった。


 えっ、私カンニングしてる!?


 って感じに。


 それはやろうと思ってやった事ではない。


 本当の本当だ。


 けれど、意識せずに、そうなってしまったようだ。


 前日の試験勉強をした時、英単語を暗記するために英単語カードを使った。


 で、寝ぼけた頭でどこにしまったかというと、筆箱にしまってしまったのだ。


 私の筆箱、二段式になってるから、気が付かなかった。


 普段使っているのは一段目。


 英単語カードが入っていたのは二段目。


 どっ、どうしよう。


 こんなものが入っていると知られたら、カンニング扱いされてしまう。


 単語カードの存在が気になって、試験に集中できない。


 当然だよ。


 いくら解いても、カンニングしたってなったら0点、それどころかもっと人い事になるんだから。


 あああああ。どっどうすればっ!


 パニックになった私は、震える指でそれを掴んでいた。


 そんな事しても、テストの見張りをしている先生に見られるリスクが高まるだけなのに。


 ぴらっ。


 めくった単語カードは真っ白だった。


 あっ、これ使ってない方のカードだった。


 テスト前日、英単語がかれたカードの傍に未使用のやつもあったから。


 はぁあああ。良かったぁあああ。


 私は、心の中で大きなため息を吐いて、それを戻した。


 が。


「おい、佐藤。このカードはなんだ?」


 ひいいいいっ!


 先生に見つかったぁあああ!


 いつのまにか机の横に来ていた先生が、筆箱に入っているそれをつまみあげていた。


 ちっ、違うんです。誤解なんですぅっ!!





 その後、分かってもらうのにさらに数分かかった。


 時間を使ってしまったため、最後まで問題をとけなくて、テストの結果はいつもより低かった。


 でもっ、0点よりはましだよねっ(泣)。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ある回答 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ