お手玉ひとつ

野原でとってきた数珠玉じゅずだまの実を入れて

端切れで母が作ってくれたお手玉は

投げあげて掌にうけるたびに

しゃこ、しゃこ、と優しい音がした


今、ひとつ残っているそれの

手触りを楽しみながら

昔の童歌わらべうたを口ずさむ

♪一番はじめは一の宮

二は日光東照宮

三は讃岐の金比羅さん…… 


ひとりだけになってしまった寂しさを

両手で包みこむように持てば

亡き母の温もりを想いだし

遠い日々にしみじみと秋の夕暮れ

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