空の劇場

青空に白い雲が

ゆったりと流れていって

わたしは洗濯物を干す手を

しばし止めて

雲の行方を目で追いかける


風が気持ちいい

折りたたみ机と椅子

チーズとトマトのサンドイッチを

ベランダに持ってきて

そうそう、飲み物は紅茶にしよう

雲の形がいろいろに変化して

それもまた楽しい

ごちそうさま

ささやかな

でも贅沢な昼食


黄昏時

洗濯物を取り込んだあと

また空に魅入ってしまう

秋の日は釣瓶落とし

青から蒼そして灰青へと暮れゆき

まるで頬を染めるように朱鷺色ときいろへと


そうして、月が顔を出す


今夜は上弦の月


いとあはれなり

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る