銀の音匣

幼い頃、大切にしていた

銀の音匣オルゴール

ゼンマイを巻いて蓋を開けて

ちいさなバレリーナの人形を

置くとクルクルと踊りだす


優雅な、ちいさなバレリーナを

うっとりと見つめながら

一緒に爪先立ってまわろうとしては

よろけて尻餅をつく

少女のわたし


ちゃんと仕舞っておいたはずなのに

ちいさなバレリーナは

いつのまにか

何処かへいってしまった

銀の音匣オルゴールだけを残して


可憐なあのバレリーナが

せめて踊り続けていればいいと思う


今も何処かで


幻の音匣オルゴールのメロディを聴きながら

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