もののあはれ

静かに心を澄ませてみれば

そこには喜怒哀楽のすべてが

ゆっくり揺蕩たゆたうている


このわたくしという小さな身体のなかに眠る

みずからすらわからぬ感情の破片かけらたちの

つぶやく声に、そっと耳を傾ける


ひび割れて降り注ぐ世界よのなか

細い細い針のように刺さって

この身をさいなみ続けるけれど


いたわりあう心と心人の情けというもの


それでも、ささやかな

いや、ささやかなればこそ

この温もりは愛しさを増して胸に沁みゆく

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