ラプンツェルの空

高い高い塔の上で

たったひとつの窓から

世界そとを見ながら

ラプンツェルは何を

思っていたのだろう


変わりゆく空のいろ、雲の流れ

取り残されたまま

流れていく時間のなかで



長く長く伸びた髪を編んで

たったひとつの窓から

世界そとへと垂らしながら

ラプンツェルは誰を

待っていたのだろう


空のかなた、道のむこう

髪に白いひと筋をみつけても

信じて待ちつづけて


ああ


その『こころ』を

愚かだなどと誰がいえようか




あなたも

わたしも


そんな不器用なラプンツェルだった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る