真夜中の蝉

真夜中の耳鳴りは

目を瞑っていれば

まるで蝉の声のよう

子どもの頃の夏を連れてくる



草いきれの匂い

擦りむいた膝小僧に赤チン

サンダルで歩く海へと続く道

したたる汗の感触

カラカラの喉に冷たい麦茶

お風呂上がりの天花粉てんかふん


真夜中の蝉の声耳鳴りを聴きながら

わたしは夢現ゆめうつつ彷徨さまよ



想い出のなかで

背高のっぽの向日葵ひまわり

太陽を仰ぎながら

風に揺れている

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