ありがとうとあなたは言った
痛みに
不安に震えて
誰もが往く道だなどと
簡単にいうには辛すぎる道を通って
それでもあなたは
その命を生き抜いた
さいごの時に
一筋の涙が閉じた目から流れて
それから
あなたは
ちいさく口を動かして
ありがとう
と、言ってくれた
握った手をさすりながら
わたしも
ありがとう
と、言った
何度も繰り返し言った
ありがとう、お父さん
ありがとう
今も覚えている
ずっと忘れない
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