第24話 詩織への気持ち



「詩織、大丈夫かな、、、。」


前回の試練は同時に複数人で挑戦することが可能だったが、今回は一人ずつ受ける試練。

僕が詩織と共に鏡の迷路に入ることは叶わなかった。

中の様子はわからず、光を反射してキラキラと光る迷路を見つめることしか出来ない。

もどかしい。


「大丈夫だろ、お師匠様の孫だし。」


「信じて待ちましょう?ね!」


ノアくんとレアちゃんが一緒に居てくれることが心強い。


「今更何だけど、二人は双子なのかな?」


洋服と髪型で見分けているが、二人はほとんど同じ顔だった。

背格好も同じなので歳の差も無いように感じる。


「そうだよ、言ってなかったか?」


「私がお姉ちゃんで、ノアは弟!」


レアちゃんがお姉ちゃんなのは納得。

ノアくんはちょっと子供っぽい。


「お前、俺のこと弟っぽいって思っただろ?」


「ご、ごめん、、、。

それも魔法?」


考えていたことを言い当てられ、ドキッする。

心を読む魔法を使われたのかと思った。


「いや、お前がわかりやすいだけ!」


ケラケラとノアくんが楽しそうに笑う。


「お前と詩織は?付き合ってんの?」


付き合ってる?僕と?詩織が?

予想もしていなかった質問に固まってしまう。


「あれ?付き合ってないの?」


「えっ!?僕と詩織はそんなんじゃないよ。

ただの友達。」


誰かと付き合っているのか、なんて初めて聞かれて動揺してしまう。

顔が熱い、全身の血液が顔に集まっているように感じる。

そんな僕を見てノアくんとレアちゃんがニヤニヤ笑っている。


「詩織が好きなの?」


「詩織のことどう思ってんの?」


詩織のことをどう思っているか、、、。

初めて会った時、初めて迷子になった時、何度も迎えに来てくれた時、一緒に過ごした日々が次々と頭に浮かんでは消える。


「詩織、今はクラスでもそんなに目立たない子なんだけど、出会った時は男の子に混じって外で遊ぶくらい活発だった。

誰にでも優しくて、明るくて、いつもクラスの中心に居た。

誰にでも優しいのは変わってないけど。」


僕を探すようになってから詩織は変わった。

放課後友達と遊ぶことも減り、次第に友達自体も減った。

そのことを考えると胸の奥に糸が絡んだようになる。

吐き出せない何かが喉に詰まる。


「詩織のことは、誰よりも幸せになってほしい人だと思ってるよ。

だから魔法を解きたいんだ。

もう詩織が僕に縛られないように。」





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る