第15話 神隠し



あれから蒼を探すのは春日家の役割になっていた。

最初は蒼のお母さんも探してたけど、必ず私が見つけるのでいつの間にか探さなくなった。

蒼はスマホを持ち、迷子になった時は私に連絡するようになった。


小野先生はずっと気にかけてくれていたが、蒼が直接私に連絡するようになってからは迷子になっても伝えていない。


小学校を卒業してからは、蒼を探すのは私だけの役目になった。

私が願った通りに、、、。




「なるほどなあ。」


ツバメがうんうん、と頷いていた。


「こっち来れとるやん。

この歳まで何してたん?」


魔法を掛けられたと知ってから僕もずっとそれら考えていた。

何年も気に病んでいた詩織と、家族がすぐに魔法界に来なかった理由がわからなかった。


「この子の母親にも魔法が掛かってるからねえ。

アタシが掛けたんだ、間違いない。

あの子は魔法を使えないし、自力でこっちには来られない。」


ツバメが驚いて飛び上がる。


「我が子に魔法掛けたんかい!」


「アタシよりもあの男を選んだんだ、当たり前だろう?

二度と顔なんて見たくないね。」


ドロシーと詩織の父親は不仲らしい。

自分の後継者として育てていた詩織の母親と、偶然こちらに来てしまった彼が出会い、恋に落ちた。

人間界で暮らすことを選んだ二人を今でも許せないらしい。


「最近になって、家でカトラリーを見つけたんです。

シルバーのスプーンと、フォークと、ナイフ。

持ち手と口に入れる部分にマークが書いてあって、それを合わせると三角形が出来上がって、水が出てきた。

水の中に指を入れたらこっちに居た。」


そういうことだったのか。

僕は自分がこの世界に来た時のことを思い出していた。




「詩織のお母さん?」


自宅でくつろいでいると、スマホに珍しい人物から連絡があった。


「はい、奥田です。」


「蒼くん!!!

詩織知らない!!??」


時刻は夜の23時。

真面目な詩織が外を出歩く時間じゃない。

それに、、、用事がある時は必ず僕に連絡をくれていた。

僕が迷子になった時に迎えに行けないと困ると思っていたのだろう。

放課後予定がある時は、僕を家に送り届けてから向かってくれる。

学校に遅刻、欠席、早退しないように登校は毎日一緒だ。

僕は詩織と同じ学校で、予定も把握していた。


「今日は出かけるって連絡は貰ってないです。

詩織、帰ってきてないんですか?」


僕にも、母親にも連絡してないなんて珍しい。


「帰ってきてるの、、、。

夕飯も一緒に食べたわ!

制服から部屋着に着替えるって自分の部屋に行ったはずなの。

でも居なくなっちゃって、、、。

もしかしたら蒼くんを探しに行ったのかなと思って、、、。」


「僕からも詩織に連絡してみますね!」


詩織に電話を掛けてみようと思った。


「それがね、スマホも財布も家にあるの。

靴も、自転車もあるの、、、。」


詩織自身だけが家から消えてしまったらしい。



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