第13話 発見
「先生、、、。」
先生の姿を見て、奥田くんがほっとしたがわかった。
担任の小野先生は若くて、背が高くて、笑うと目がなくなる、色の白い先生。
かっこよくて、優しくて、クラスのみんなが先生を好きだった。
「こんな時間まで何してたの!
みんな心配してたんだよ!」
そう言いながら、先生は奥田くんを抱きしめた。
まるで兄弟みたいだった。
「春日さんも!
お父さんから聞いたよ?
友達のためでも、こんな時間に一人で家を出たら危ないよ!」
先生に言われて初めて、自分が危ないことをしてしまったと気づいた。
「先生、パパ、ごめんなさい、、、。」
罪悪感が泥のように溜まり、胸がいっぱいになる。
「二人とも本当に無事で良かった、、、。」
先生は少し泣いていたみたいだった。
奥田くんは先生と、私はパパと手を繋いで夜道を歩いていた。
「それにしても、よく見つけたね!
ありがとう、春日さん。」
先生はもう怒っていないようだった。
「あの辺りは先生も探したし、親御さんも探したはずだったんだけど、、、何で見つからなかったんだろう?」
先生は不思議そうに呟いた。
パパは何も言わなかった。
「じゃあ、僕はこのまま奥田くんを自宅まで送ります。
お父さん、春日さん、本当にありがとうございました。」
先生が頭を深く下げてお礼を言う。
それを見た奥田くんも一緒に頭を下げた。
「いえ、奥田くんが見つかって良かったです。
おやすみなさい。」
パパもにこやかだった。
「詩織、夕飯の続きを食べたらお風呂に入ってすぐに寝なさい。
もう遅いから、今日のことは明日話そう。」
パパからのお叱りは、明日に延期されたようだ。
「後で、、、少し、、、。」
パパがママの耳元で話していたけど、何て言ったのかは聞き取れなかった。
夕飯の続きを食べて、お風呂に入った。
「パパ、ママ、おやすみなさい!」
「「おやすみ、詩織。」」
いつものやり取りだけど、なんだか今日は二人の様子が変だった。
やっぱり怒っているのかな、、、。
明日いっぱい怒られるのかな、、、。
ベッドの中に入っても、なかなか寝付けなかった。
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