第8話 報告
突然、僕の顔を水が覆った。
記憶の海で溺れていた僕は、本物の海で溺れてしまったのかと錯覚して飛び起きた。
実際には雲の森の外、雲漠に横たわっていた。
「お!起きたな!」
目の前に立っていたのはノアくん、レアちゃんだった。
隣には肩にツバメを乗せた詩織がしゃがみ込んでいる。
「お前、気失ったんだってな!」
僕を指差してノアくんがカラカラと笑う。
片手には銀の水筒を持っていた。
「ノア!笑ったら失礼よ!」
レアちゃんがバシン!とノアくんの背中を叩いて注意してくれた。
「痛っー!!!!!」
二人が喧嘩を始めた。
雲の森に辿り着くまでにも何度も見た光景だ。
「蒼、、、大丈夫?」
詩織が僕の顔を覗き込む。
今にも涙が零れ落ちそうな表情だった。
「大丈夫だよ。
気を失うなんて、情けないね、、、。」
僕は詩織が泣かないように笑って見せた。
「ほんまに情けないやつやで!」
ツバメが大笑いしている。
「え!台風の中に入ったの!!??」
雲の森からの帰り道、僕らは二つ目の試練の前にドロシー様の家へと帰ることになった。
僕らから雲の森の中での話を聞いたレアちゃんは驚いていた。
「目が見つかってラッキーだったな!」
ノアくんが右手の親指を立てた。
「たまたま手元に木があったから、目を殴って脱出したよ。」
僕の言葉に二人が更に驚いた表情を見せる。
「殴った!!??台風の目を!!??」
「3秒以上目合わせると出してくれるって俺言わなかったっけ!!??」
聞いていない。
そもそも眼球だなんて聞いてない。
「殴ったは初めて聞いたな!レア!」
「そうね!食べた人なら過去にいたんだけど、、、。」
今度は僕と詩織が驚く。
「食べた!!??あれを食べた人がいるの!!??」
「うっわ、、、僕ちょっと気持ち悪いかも、、、。」
本当に吐きそうになった。
「ブルーベリーの味がするらしいぜ!
帰ったら聞いてみろよ!
お前の父ちゃんに!!!」
ノアくんはケラケラ笑っていたが、詩織は自分の父親の行動にドン引きしていた。
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