騒動の後
その日の夜はみんな静かだった。団長たちは「疲れたから」と告げて先に部屋へ戻った。残された私はため息を吐き天井を見上げていた。
もう二度と聞きたくないと思っていた名前をまた聞くことになるなんて思わなかった。団長たちを守るためにどうすればいい?もう分からない。「助けて……リリー……」私のその言葉は虚しく空へ消えた。私は膝を抱え肩が震えていた。リリーや村の皆に会いたい。いっその事あいつらに殺されるくらいなら自分で死んだ方がマシだろう。そんな事を考えていればカタリと小さな音がした。その音に振り返ればそこには首領が立っていた。私は目を見開いたあとすぐに笑みを浮かべ「首領どうかしました?」と問いかけた。考えていることを知られないように悟られないように私は首領を見ていた。首領は私の傍に座りただ一言。「死のうとするなよ」と告げてきた。
「……なんの事でしょうか首領。」
「ライが考えてる事なんざお見通しなんだよ」
「……別に死のうとなんてしてないですよ。ただ……」
「俺たちを守るためにはどうすればいいか……か?」
「……お見通しなんですね首領。」私はにこりと笑みを浮かべそう告げた。首領はため息を吐き緩く私の頭を撫でて「団員を守るのが俺の仕事だ。俺の仕事を取るんじゃない」と告げてきた。私はくすりと笑い「仰せのままに。」と答え立ち上がった。首領が少し不思議そうにしながら見つめ、「ライどうかしたか?」と告げてきたので私は「考えが纏まったので寝ようかと。」と答えた。考えが纏まった。これは嘘じゃない。私は【生きて】やる事をやらないといけない。サフズルのボスであるテオフィルを潰してしまえば私の勝ち。これできっとリリー達も成仏してくれる……。【きっと私は地獄に行くだろうけど……それでもいい】そんな事を考えながら私は部屋へと向かった。首領に「おやすみなさい首領。」と告げて。
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