腐女子ですが、推しBL作品に転生しました。
雪月ゆき
第1話「腐女子ですが、推しBL作品に転生しました。」
カチカチと響くマウスクリックの音。自分自身の興奮した吐息。
画面に映るのは――洋一と亮太の濃厚な絡みシーン。
ベッドに寄り添うようにして眠る彼らを手の隙間から覗き込み、スクリーンショットを撮りまくる。
それが私――多田野唯の日常である。
「はぁ……はぁ……! 尊すぎる……!」
涎をじゅるり、と垂らしながらも興奮を何とか抑えゲームをプレイしていく。
勿論、周回プレイ済みである……。本日2周目のプレイをしている最中だが。
きぃと椅子を鳴らし、伸びをした瞬間。画面が突如光りだす。
「……? こんな演出あったかな?」
なんて考えているうちに光はどんどん強くなり目すら開けていられない状況になる。
「さぁ、腐女子よ! 我が祝福をとくと受けるが良い!」
そんな言葉を耳にしながら私の意識は暗転した。
目を覚ますとそこはベッドの上だった。さらりと肌を撫でるシーツはすべすべで、慣れない枕に布団。
ん? と思って辺りを見渡せばそこは知らない部屋だった。
「どこ……ここ。」
ふらふらとベッドから立ち上がり、部屋の中を歩く。すると気になるものが有る。それは鏡だった。
鏡に姿を映してみれば、それはもう目を引ん剝くほどの出来事が起きていた。
「え!? 洋子姐さんになってるぅううううううううう!?」
「姉さん……? どうしたの?」
外からは聞いたことが有る声がする。バッと扉を開けるとそこには。
洋一きゅんがいた。
――どうやら、私どきっと☆学園パラダイスの世界に転生したようです。
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