第2話「ごちそうは洋一きゅんですか??」
「よ、洋一きゅん……。」
はぁはぁと呼吸を荒くしながら洋一きゅんに近づくと一歩距離を取られる。
姉さん……? と心配そうな声が聞こえる。その心配そうな声もたまんねぇな!!!!!!
「洋一きゅんって何……? 姉さんおかしいよ……。」
長い前髪から狼狽えた瞳がのぞく。可愛すぎやしませんか私の推し!!!!!!
ずりずりと近づいて壁まで追い詰める。洋一きゅんも困ったような表情と顔を真っ赤にするを繰り返してとても忙しそうだ。
そこが愛くるしいんだけどね。
「しゃ、写真撮ろう……洋一きゅん……。」
「え? しゃ、写真? いいけど……。」
「よっしゃぁ!!!!!!」
「?? 姉さんやっぱおかしくない?」
「全然! さぁ!!!! 撮ろう!!」
無理矢理に言いくるめて携帯を取り出す。そして洋一きゅんにカメラを向ける。
「え、一緒に撮るんじゃないの……?」
「え?」
推しと一緒に写真だなんてそんな! と狼狽えているとぐっと肩を掴まれる。
そしてそのまま横に立たされ、携帯は取り上げられた。
ぐいっと近くなる距離。そのままぱしゃり、と写真は撮られた。
「あ……。」
「よし、撮れた……。姉さん? 顔真っ赤だよ?」
「え? ええ~……? 恥ずかしいから見ないで!」
くるりと後ろを振り返る。こんなのごちそうすぎる!
じゅるりと垂れる涎を拭いながら、洋一きゅんの方を振り返る。
そこには大事そうに携帯を抱えてる洋一きゅんがいた!
「ぐはぁっ!」
「ね、姉さん!?」
私は真後ろに倒れこむ。視界には真っ赤な血が映った。あぁ、私……鼻血出したんだ……。
地面と後頭部がキスするまであと五秒。
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