事後処理

 Side エリク・クロフォード


 あの戦いの後は大変だった。

 当然だ。

 成り行きとは言え、ほぼ無許可で戦ってしまったのだから。

 学校だけでなく、事情聴取はブレイヴスフォース(国際治安維持組織)までもが足を運んで来たのには驚いて頭から血の気が引いてしまった。


 ブレイヴスフォースとは治安維持組織であり、バトルスーツ乗りなら誰もが憧れるらしい憧れの職業の一つだ。

 厳重に注意された上で頭を下げられたのは意外だった。


 それでも生徒のE組の生徒の中には「これでブレイヴスフォースには入れないかな?」と将来を不安視する声があった。


 事後処理を一通り終え、最終的には教官である泉 リョウコ先生から罰則の内容――僕達1年E組は反省文やバトルスーツの清掃、一週間の間、バトルスーツに関する授業制限などの罰則を行う事になった。


 特にキツイと思ったのはバトルスーツの着用禁止である。

 例えるならば料理の専門学校に行って、料理の事を学ぶのを禁止されるようなものである。


 だがまあ事が事なので皆はどうにか納得した。



 =夜・男子学生寮の部屋にて=

 

 他の学生寮はどうか知らないがクロガネ学園は全寮制(生徒は全員、学生寮暮らし)だった。

 学生寮の部屋に向かう途中、行く先々から好奇の目線に晒されて正直落ち着かない気分だった。

 女子達も同じような境遇だろう。

 そうして部屋に辿り着いた。


 部屋は広く、二段ベッドではなく、机とベッドや専用の棚が別れてスペースで区切られて別れて置いてある。

 

「やれやれ。ようやく部屋に辿り着いたか」


 くたびれたように同室の生徒が言う。

 僕の部屋の同室の生徒はくたびれたように言った。

 

 柳 シュンスケ。

 黒髪で眼鏡を掛けている男だ。

 背も自分より高い。


 趣味は世界大戦以前の文化収集――特にサブカル方面が好きらしい。

 

「大変だったね」


 と、僕は苦笑いしてシュンスケを労うように言うが――


「大変どころか危うく死にかけたし、それに今から将来が不安だっての――ちゃんと就職できんのかこれ?」


「ま、まあなるようになるよ」


「なるようになるってお前なあ……どうしてそんな楽観的になれるんだか」


 シュンスケは深い溜息をついたのち、思考を切り替えるようにこう言った。


「まあ、俺達を助けてくれてありがとうな――クロフォード君」


「エリクって呼び捨てで良いよ」 

 

「じゃあ俺もシュンって呼び捨てでいいよ。長い付き合いになるし仲良くやっていこうぜ」


「うん」


 シュンの言葉にそう答えた。

 

「本当は昨日みたいにあれこれと喋りたいけど、今日は色々とありすぎた。今日はシャワーで済ませて早いところ寝よう」


「そ、そうだね」


 シュンスケが言うようにまさかの武装勢力の襲撃と言う前代未聞の事態に遭遇した。

 それに僕も事後処理のアレコレや事情聴取でクタクタだ。

 明日から通常の授業に加えて清掃活動に反省文作成など、様々な罰則が待っている。

 僕も早めに寝ておこうと思った。

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