バトルスーツ・ハイスクール
MrR
入学編
入学式初日でテロに巻き込まれると言う
Side エリク・クロフォード
=クロガネ学園・バトルスーツ格納庫=
戦闘用パワードスーツ、バトルスーツの動かし方を教えるクロガネ学園の授業初日。
1年E組は早速バトルスーツの試着訓練を行っていた。
バトルスーツはウォードッグ。
オレンジ色のカラーで洋式便器に手足くっつけたかのようなデザインのバトルスーツだ。
そんなデザインなので男女からは不満が多かった。
フェザーまでとはいかなくてもトルパーやピースメーカーの方が一般受けするのだろうと思った。
ともかく僕達1年E組の20名は演習場に出て訓練する――筈だった。
☆
Side クロガネ学園 警備部隊長
=クロガネ学園・敷地内=
『授業初日にテロだと!?』
『応戦しろ!!』
相手はこの世界の約2m前後のパワードスーツ兵器、バトルスーツを身に纏っています。
機種もバラバラで旧型に位置する機体も多い。
手に持った銃器は人間が使う物からバトルスーツ用の物まであり、特にバトルスーツ用の銃器は人間に当たれば風穴が空くのではなく、その部分が空間に穴が開いたような大穴が相手消し飛びます。
旧型と言えど、伊達に嘗ての世界大戦で主力兵器の座にいたのは伊達ではありません。
学園の防衛部隊も校門を中心に部隊を展開。
こちらもただの警備員ではなく銃器と盾でバトルスーツ「ピースメーカー」を身に纏い、必死に応戦します。
ピースメーカーは純白のロボットアニメに出て来るような量産型バトルスーツです。
悪い言い方をすればやられ役のような外観をしていますが、ピースメーカーは最新鋭のバトルスーツで相手の攻撃を盾で防ぎながら次々と銃器でワンショットワンキルで仕留めていきます。
『なるべく動くな! 狙いを俺達に集中させて攻撃を盾で受け止めろ! 敵を無理に倒すことだけを考えるな! コンバットシステムをダウンさせるだけでかまわない!』
警備隊の隊長機の指示に部下達は『了解!!』と飛ばします。
戦いは5分5分。
数が多いテロリストたちは好き放題に攻撃できて、警備部隊は広大なクロガネ学園の敷地と生徒達を守るため、下手に動くと防衛対象に危険を晒す事になるため不利なのです。
そうして一進一退の攻防をしている最中――
☆
Side エリク・クロフォード
=クロガネ学園・敷地内=
まさか入学初日でテロリストと戦う事になるとは思わなかった。
こちらはロクな武装が施されていない訓練機。
模擬弾どころか武装一つない状態である。
『皆さんは退避してください!!』
教官の泉 リョウコ先生が純白のトルパーを身に纏いながら必死に訴える。
『でも先生一人じゃ!!』
生徒の一人がそう言うが――
『でもじゃありません!! 早く下がってください!! 私一人じゃ長くは――』
教官が使うトルパーはトルパーとは思えないようなアクションを決める。
地面を滑り、空中を飛翔し、左右に揺れながら相手の射線を惑わして攻撃を回避し、敵の弾幕を凌ぐ。
控えめに言って神業とも言える回避機動だ。
(だがあれではいつかは――)
教官も武装しているならともかく非武装の状態であり、このままではジリ貧だ。
何時までもこの状況は続かないだろう。
『逃げるのか?』
『戦いの厳しさを教えてやる!!』
と、逃げ惑う生徒達の方にも敵が複数来た。
僕は覚悟を決める。
こちらも旧型だが敵も旧型。
でも武器がある分あちらが有利である。
(後でいっぱい怒られるんだろうな……)
などと憂鬱に感じながら機体を動かす。
基本バトルスーツ同士の戦闘はブーストによる機動力を活かした銃撃戦で決まる。
白兵戦にまで持ち込めたら十分にプロだ。
改良されてるとは言え、旧世代機で銃を持った相手に素手で勝つと言うそこまでの芸当が出来るかは分からないがやるしかない。
(って、ほかにも戦ってる人がいる!?)
誰がどの機体に乗ってるかは分からないが、自衛のための戦闘を決めた人間はいるようだ。
そのおかげでこちらに狙いが逸れてる。
「なっ!?」
地面を滑るように、相手の懐に飛び込んでの体当たり。
相手は他の敵機体に衝突する。
上手く行った。
相手の武器を奪う。
バトルスーツ専用のアサルトライフルのだ。
当然バトルスーツの装甲を貫通する程の威力がある。
『ま、まて!!』
『う、うわあああ!?』
それを転倒した状態の二機に躊躇いなく撃ち込む。
『化けて出ないでくださいよ……』
核融合炉や推進剤に着弾して大爆発を起こす。
相手が動揺している隙に次々と相手に撃ち込んでいく。
『がっ!?』
『ぎゃ!?』
運よくコンバットシステムがダウンした程度で済む者。
死体が入ったままの状態で倒れ込む棺桶になった者。
動力炉や推進剤の部分に直撃弾をくらい、爆発した者。
次々と鋼鉄の檻、棺桶、残骸となっていく襲撃者たち。
相手も負けじと撃ち返してくるので、一々敵を殺したどうこうなど考えている暇はない。
(このままだと数で押し切られる)
そう思った時だった。
『待たせたな転入生!!』
『鎮圧に手間取った!!』
空から最新式のバトルスーツ「フェザー」の部隊がやってくる。
流線的かつホッソリとしたヒロイックな外観。
背中に背負った戦闘機のような翼。
空中を戦闘機のように飛び回り、手に持った最新鋭武器で次々と敵を撃破していく。
アレは確か入学式の時にアクロバット飛行を披露していたクロガネ学園の自警団「ガーディアン」だ。
世界大戦の影響で人手不足の昨今、大人に任されるような仕事も引き受けていると言う凄腕のチームであり、他の学園でもそう言う自警団をつくる動きが活発化するキッカケとなっていると言われている程。
腕前は見ての通りだ。
(機動戦による撹乱。数奇が囮を担当し、他の機体が確実に仕留めていく)
腕前も凄いがチームとしての完成度も高い。
互いの信頼関係も深いのだろう。
でなければ実戦でこんな芸術的な戦いは出来ない。
生徒でありながら自警団を任されるだけの事はある。
などと思っているウチに戦いは終結した。
(戦いは終わったけど、これからどうなるんだろう……)
場の流れとは言え、学園の許可なく実戦おっぱじめたのだ。
最悪退学も考えられる。
流石に刑務所送りは無いと思いたい。
(これからどうなるんだろう……)
と、僕は不安に思った。
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