プーチン・ウクライナ・そしてNATO

北風 嵐

第1話 はじめに

 コロナがまだ収まっていないのに、「オイオイ、こんな時に戦争やるか!」と思った。そう云えば、ウクライナではマスクを全然していない。流行ってないのか、コロナも戦争で避難したのだろうか?中国ではあの不気味な防護服で都市封鎖を今頃やっている。この世の中がサッパリ分からない。

 思えばトランプが大統領になって、米中の貿易戦争が、武漢からはコロナ戦争になって、今、ウクライナでは本当の戦争をやっている。アフガニスタンでは多くの子供たちが飢えるだろうと、国連は支援を加盟国に呼びかけているが、国際社会は冷淡だ。欧米諸国はウクライナに戦車や武器をせっせと支援している。連日ウクライナのことは報道されるが、ミヤンマーはどこに行った?好きだったスーチーさんが心配だ。独裁政権打倒というなら、あの軍事政権を倒して欲しい。アメリカは冷たい。一体世界はどうなっているのか、タイガースはどうなっているのか?頭は混乱の極みである。

 そんな時に、ウクライナ問題には、丁度いい本に出合った。


その本とは、『危機と人類』ジャレッド・ダイアモンド(カリホルニア・ロスアンゼルス校教授)である。日本の事も書かれていて、帝国列強の植民地の危機にあったのに、さしたる内戦に陥ることなく、明治維新から近代化に成功したことを稀なことだと高く評価している。

 その一章に、ソ連に対するフィンランドの例が書かれていた。独ソ戦必死と見たソ連が、基地の提供と、ソ連軍の国内移動の自由を求めて来た。弱小国のバルト三国は飲むしかなかったが、フィンランドは、結果は併合に繋がるとこれを拒否した。ソ連との戦争は過酷なもので、期待した他国の援助はさほどのものでなかった。幸いソ連は対独戦争が始まるとフィンランドどころではなくなって、辛うじて独立は維持したが、国民の犠牲は凄惨なものであった。戦後、二代の大統領は隣国の大国を無視する政策を改め、相手首脳との会談は勿論、末端の官僚まで何を考えているか把握することに努めた。無理難題はあったが、ソ連・ロシアとの信頼関係が構築され、安定した中で教育に力を入れ、EUと結びつき、経済的な成功を見たのである。大戦前のフィンランドは森林資源ぐらいで貧しい農業国家でしかなかった。フィンランドはEUには加盟しているが、NATOには加盟せず中立政策を堅持してきた。フィンランドの例はウクライナ問題を理解するのに役立った。

なお著者は核危機を含みかねない米露の関係悪化について、『悪化の原因の一部はプーチンの政策にあり、一部はアメリカの軽率な政策にある。米政府はソ連崩壊後のロシアについて、弱体化してもはや敬意を払うに値しない存在だと片付けてしまうミスを犯した。米国はNATOを掘速に拡大し、ロシアの強硬な反対を押し切ってセルビアに介入し、イランのミサイルへの防衛策だとして、東欧にミサイル基地を配備した。こうした米国の行動にロシア指導部が脅威を感じるのは理解できる』と述べている。

そのフィンランドも今回のウクライナ侵攻でNATO参加に舵を切ったと、女性首相が来日で語っていた(綺麗な人だ。日本にも綺麗な首相が出て欲しい)。これだけでもプーチンの侵攻が間違ったものであることが分かる。


 テレビを観ていて腹が立つのは、専門家が本質に触れないことである。プーチンが悪い!それなら私でも云える。NATOのナも出て来ない。プーチンの戦争?「戦争を一人の人間で語ってはいけない」とは、著名な歴史家、E・Hカーではなかったか?そんな視点で書いた論考である。モルドバ?そんな国あったか。チェチェン、どの辺じゃ?キーウイ、果物ではない。今やなにかと詳しくなった。今なら読んで貰える!


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