④
「何で話かけてくんの?」
「えっ?」
つい、聞いてしまった。
気になってしまった。
クラスで唯一、彼女だけが、自分と普通に話そうとする。その理由がなんなのか、知りたかった。
「えっと、クラスメイトだし……」
期待した答えは至極単純で。
つい嫌味を言ってしまう。
「じゃあ、他の人でもいいじゃん」
少女の周りにはいつも誰かがいる。クラスの人気者。
それなのに、どうして自分なんかと仲良しようとしている。
このままだと、同じように変な目で見られてしまうのに。
それを避けるべきだと思った。
巻き込むべきじゃない、と。
あいつに関わるな、あいつは最低だと、言われ続けてきた。
あんな事がなかったとしても、きっとこうなる運命だったんだろう。
いくら優しい人でも、自分を助ける事は出来ない。
そんな優しさは、嫌いだ。
彼女はしばらく考えてから、こう告げた。
「だって……私とよく似てるから」
似てる?
むしろ、正反対だ。
少し苛立ってしまったせいか、決して言ってはいけない言葉を口に出してしまう。
「あっ、そう。それはいいけど、あんまり関わるのやめた方が良いと思うよ。だって」
もうこれで、本当に。
「友達でもなんでもない……ただの他人だし」
おしまいだ。
彼女に目もくれず、教室を後にする。
今日は大降りの雨。最近ずっと天気が悪い。
少し肌寒いこのシーズンも、クラスの連中も、素直になれない自分も、何もかも、
───大嫌いだ。
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