ゴブリンキーパー

俺は地下鉄駅に務めている。駅員ではなく、GKだ。GKとは、ゴブリンキーパーのこと。ゴブリンを退治するのが仕事だ。

俺は帝○大学のG班卒業。一般入試がなく、指定校推薦のみの専攻だ。大学の中でも、G班の存在を知っている人は少ない。俺の指導教員はGKの第一人者、今は名誉教授だ。同期に院進学の人もいれば、就職する人もいる。俺は地下鉄駅に就職した。就職先は大体地下鉄関係だ。

それは、国が地下鉄開発を始めたとき、地下に住むゴブリンと衝突し、彼らの家を占領したわけだ。それで人類がゴブリンと交渉し、地下鉄沿線のゴブリンを引越しさせたわけだ。しかし地下鉄の新たな建設によって、ゴブリンとの交渉人がまた必要となり、俺らのG班の出番だ。

俺の仕事は、地下鉄駅に抗議しに来るゴブリンを退治することだ。

なんで抗議するの?それは、昔のお宅が開発でなくなったことで、賠償がほしい、という理由だ。しかし既にその分のお金をゴブリンに渡したのに、まだ定期的にやってくる。困ったものだ。

さて今日はまた来た。小さいゴブリンと大きいゴブリン2匹がやってきた。地下鉄の裏ドラからやってきた。嫌だな。彼らは人間と化けているので、俺しか見破れないのだ。

俺はオリジナルチキンを彼らに渡した。「ほら、KFCやるから、帰れ」

ゴブリンは言った。「毎回すみませんが、やっぱり賠償金をください」

俺は「KFCで満足せい、帰れ。あと、また来るなら午後に来い」と言った。

ゴブリンは帰った。

定時だ。退勤する。スマホが鳴った。昔の指導教員からのメッセージだ。

「O市のゴブリンは最近大人しすぎる。なんとかして。」

俺は返事した。

「任せてください。絶対騒がせるようにします。」

駅を出て、教授から返事のメッセージが来た。

「頼むよ。ゴブリンが騒がないと、GKの仕事が終わり、G班も終わるのだ。最近のゴブリンは向上心がなさ過ぎて、GK大本営は心配だ。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る