上海ホテル その2

上海ホテル観光短期大学に通っていて、インターンシップで上海のあるホテルに長期勤務している。最初は仕事に慣れなくて大変だったが、なんとか頑張って、徐々にうまく行っている。ホテル業界を学ぶために、各部署を回って仕事をする。できれば全ての業務を体験したいと思う。

今週はクレーム対応の仕事をやっている。古いホテルだけど、最先端のデータ分析システムを導入し、お客様の満足度を統計しているそうだ。学校でデータサイエンスの勉強をしていたので、いきなりデータ分析の仕事を任された。

何日もやっていて、大体把握してきた。古いホテルが故に、設備のトラブルが多いようだ。手入れが行き届かないところもあるだろうと思い、とりあえずデータ分析の結果をまとめて上司に出している。


今月は3階のクレームがとても多くて、特に303号室のクレームがダントツ的に多い。設備点検を依頼した。しかし点検が終わって、半月経つと、また同じく303号室のクレームが多い。老朽化が酷いかと、上司にまた報告した。

しかし上司から一言が帰ってきて、「303号室はほっといて」


「なぜですか?」と私は聞いた。


上司はこう言った、「303号室は昔、殺人事件の現場だから、妙な故障が多いわけよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る