ハイブリッド翻訳通訳機

トニー君はスーパーグローバル大学創成支援事業を通して日本に留学しに来ている。彼は日本語ができない。大学では100%英語で授業をやっている。トニー君の日本語レベルは、飯屋で注文できるくらいだ。いつも「これ、これとこれ」で定食屋でご飯を食べている。

トニー君は英語の授業をたくさん取っているが、日本にはやはり興味があり、日本語の授業も取りたいと思っている。しかし日本語の授業を理解できる能力なんか持っていない。そこで、トニー君は大学の先端技術研究室のK博士のところに来た。

トニー君は、日本語でやっている日本文化の授業を取りたい、でも日本語が分からないという旨をK博士に伝えた。

K博士はまだ開発中のハイブリッド翻訳通訳機をトニー君に渡した。

「これがあれば、教授の話をすぐ液晶に表示されるし、翻訳される。君がレポートを出すとき、これを使ってもよし。双方翻訳可能だから。」

トニー君は喜んで、ハイブリッド翻訳通訳機を持って日本文化の授業に出た。

しかも本当に使えるものだった。やや難しい日本文化の話でも、ハイブリッド翻訳通訳機で翻訳できる。

期末のレポート、トニー君は英語で書いて、ハイブリッド翻訳通訳機に入れて、その日本語訳を教授に提出した。なんとB判定をもらった。トニー君は大喜び。

一学期でお世話になった日本文化の教授にお礼を言いたくて、トニー君はその日本文化の教授に感謝のメールを書いた。今回もまたハイブリッド翻訳通訳機を使って日本語へ翻訳した。

しかし、翌日、日本文化の教授からすごく怒りの返事が来た。

「メールで敬語使わないものはもう会わない!」

トニー君は戸惑って、K博士のところに来た。

事情を説明したら、K博士はトニー君に謝った。

「ハイブリッド翻訳通訳機は学術専用なので、『だ・である』しか書けないよ。敬語やビジネスメールの書き方はハイブリッド翻訳通訳機に入れてないなんだ。」


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