あの店

初めて北京に行ったのは、中学のとき。

北京に住んでいた親戚の叔母さんがいて、叔母さんは僕を洋食屋に連れてくれた。

「たくさん食べてね!」と叔母さんはご馳走してくれた。

美味しかった。たくさん食べた。

実家は田舎寄りなので、洋食屋はなかった。その後、ずっとその店で食べたいと思っていた。

しかし店の名前を覚えていなかった。

大学は日本に留学した。初めて日本に来た日、寮の先輩は、「日本の初めての飯を奢るよ」と言って、店に連れてくれた。

洋食屋だった。注文して食べたら、懐かしい味がした。

あの店だ!

なんと日本にもあるんだ。

「ここは何という店ですか」と先輩に聞いたら、「サイゼリヤだよ」と先輩が答えた。

「サイゼ…リヤ、難しい名前ですね」。「中国にもありますか?」と私が聞いた。

「北京にあるよ。でもこの店は日本の会社だよ」と先輩が言った。

「え?洋食屋なのに?」と私は驚いた。

「そうだよ」先輩が説明してくれた。「吉野家、すき家みたいに、ここはサイゼリ屋だからね!屋ってことは、安くて美味しい店だ。日本で暮らす以上、覚えておいてね!」

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