今、ぼくらの学校では非モテ男子による抗議デモ運動が行なわれております。

第1話「火種。」

この物語はフィクションです。

実在の人物・団体とは一切関係ありません。

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　↓まずはこれらのツイートをご覧ください↓

『クラスの隅っこにいる根暗キモ男どもが毎回昼休みに声を荒げてカードゲームに熱中しているのがマジ不快すぎてwwwwwww』

『てゆうか、高校三年にもなってアニメとかフィギュアとかに夢中になっているヤツって、絶対頭になんかの障害抱えているよね？wwwww ww』

『え、待って。今日クラスのキモヲタどもが、目をちょっと合わせたくらいでニヤニヤ笑ってきたんだけど？w ほんっっっと、ありえない。キツすぎ。四回吐いた。頼むからイケメンに転生してこいwwwwwお願いします！！！！！！！！！！！！！死んで』

『あーまじ、あのキモオタども一人残らず殺してやりたーい(笑)』

　いかがでしたか。

　不快な気持ちにさせたのなら申し訳ございません。

　しかしながら、これらは事実です。

　目を背けず、耳を塞がず、私のお話を聞いてください。

　実はこのツイートの主は皆さんがご存知の“ある人物”なのです。

　ここでは特定を避けるために【Ａ氏】と呼ばせて頂きます。

　【Ａ氏】は文武両道で学年中の異性から注目を集める人気者でした。

　二年前にはミスコンで県内代表を務めたこともあります。

　極めて優れたルックスなのにも関わらず、決して傲慢になることもなく、クラスで仲間に入れない男子にも優しく接して挨拶を交わしてくれるような、いわば『高嶺の花』と称されてもなんらおかしくない、完璧美少女でありました。

　いま思えばそれは……彼女が生徒会長として人気を博すために用いた巧妙な罠でした。

　今の地位を確立できたのも、そういった草の根活動が実を結んだ結果なのでしょう。

　外見だけを整えて中身は邪悪。

　我々はずっと騙されていたのです。

　この薄汚い女狐に！

　彼女は完璧美少女ではありません。

　こういった裏垢を用いて定期的にガス抜きをおこなっている性悪女。

　人を見た目だけで判断する”差別主義者”です。

　生徒会長でもある【Ａ氏】が「ヲタクは死ね」などと発言することを許して良いのでしょうか？

　仮にも影響力のある人間がこういった差別発言を繰り返し行うことを、皆さんはどう思われますか？

　私は許し難いと感じます。

　もし私と同様に彼女を許せないと思う方は『＃Ａ氏の謝罪並びに辞任を要求する』とツイートをして、これらの情報を拡散してください。

　怖いのなら匿名でも構いません。

　声を上げることは恥ずかしいことではないのですから。

　これ以上、こんな女狐がふんぞり返って、権力を濫用することを私は見たくはない！

　ここらで防がなくてはいけません！

　風紀がなんだと口では綺麗なことを言っておきながら、腹の底では何を考えているのかわからない……。

　こんなことが罷り通る世の中ではいけません！！

　──集え、同志たちよ。

　化けの皮を被って、権力を濫用する女狐に、正義の鉄槌を加えよう！

　声を上げるのだ。非モテ男子たちよ。

　今こそ、君たちの出番だ。

　私と一緒に戦おうではないか。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　タカ。

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