第42話・決着

 銃を投げ捨てると同時に真空の刃を光線剣を纏わせ、全力で力の限り切りつける。


白刃は真空の断層をともない、イグニスにとどめの一撃を叩きつける。




「なんでっ……よ、なんでなのよ!?」


 イグニスの顔は、葵になっていた。




「どうして邪魔をするの? 葵、私達親友でしょう。 こんなのない、おかしいわ!」




「そうよ、私は七瀬の親友、そしてイグニスのナイトでもある。 瀬川会長が七瀬にしたことは知ってる。 だけど勝負はもうついているよ。 これ以上戦うのは止めて」




 葵の言葉が信じられない。 何で私を殺そうとしたイグニスをかばうのよ。


 イグニスが無理矢理、葵を従わせている可能性以外考えないようにしていたのに。


 だが、目の前で繰り広げられる現実は残酷だ。 葵は事実騎士として自らイグニスを守ろうとしている。 私は剣を持つ手が戦慄で震えるのを自覚した。




「何でよ!? 何で葵が邪魔するのよ! こいつは私を殺そうとしたのよ、もう三回も襲われた。 そのたびに私がどれほど痛い目に遭わされたか、こんなのないよ、こんな結末、私は認めない!」




「違うよ、瀬川会長は七瀬を一人前のヴァルキリーとして目覚めさせるために、わざと悪役を買って出ていただけなんだよ。




 そうでもしないと、七瀬は本気になんてならないから。


 だから―――お願い七瀬、瀬川会長を許してあげて! それができないなら先に私を倒しなさい!」




 葵が巨大な盾を構える。 それが彼女のヴァルキリーとしての武器であり防具。

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