悲劇の魔女、フィーネ 12
「まずは…『メイソン地区』について調べてみるか…」
早速地名と住所、他にキーワードをいくつか打ち込んでみた。
するといくつかの検索結果が表示された。その中の1つの結果に目を止めた。
「うん?これは…」
『グレン・アドラー伯爵の悲劇』という検索結果に興味を引かれた。
「グレン・アドラー伯爵か…そんな人物がいたのか?…今から450年以上も昔の人物のようだな…」
そして俺はグレン・アドラー伯爵についての検索結果を表示させた―。
****
「成程…そういう事か…」
グレン・アドラー伯爵が最初の悲劇だったのか。しかし、まさか『メイソン地区』に住んでいた者たちが、アドラー伯爵の不在時に城中の者達を殺害したとは…。
「自分が守ってきた領民達に大切な人々を殺害されたのがきっかけでグレン伯爵は全ての領民達を殺害したのか…と言う事は魔女フィーネの時代よりも前に既にあの土地一帯は呪われたていたという事になるな…」
ひょっとしてフィーネが魔女になってしまったのはあの場所にとどまっていた怨霊のせいなのかもしれない…。
「俺は…とんでも無い場所に足を踏み入れていたんだな…」
再び背筋に悪寒のような物を感じつつ、次は魔女フィーネについて調べてみることにした。
ここは『リーヴァ』だからな…。ひょっとするとより詳しく調べることが出来るかもしれない。何と言っても魔女フィーネの生まれた場所なのだから…。
「あ、あったぞ。魔女フィーネのことについて書かれているな…。どれどれ…」
そして俺は早速そこのサイトに飛んだ―。
*****
「ううぅ…読むんじゃなかった…しかし、ここに書かれているのは本当の事なのか…?」
そこには何故、フィーネが魔女となったのかを記した詳しい経緯と、自分を裏切った者たちをどの様に殺害したのかが詳しく記されていた。
『満月の夜に野生の狼の群れを操り、城に招き入れ城中の者たちを全員生きたまま狼の餌にした。そして特に強い恨みを持っていた婚約者と叔父には絶対に途中で息絶えぬように心臓に魔法を掛け、彼等は骨になるまで生きたまま狼に喰らいつくされた』
「この話…。本当なのだろうか?大体こんな事が分るのは魔女本人であるフィーネにしか分らない事実だし…恐らく作り話ではあるのだろうが…」
しかし、俺は想像してしまった。生きながら狼たちに身体を喰いちぎられていくその恐怖と痛みを…。しかも途中で死なないように心臓に魔法を掛けられたとは…。それは想像を絶する物だろう…。
「こんな死に方をしては…怨霊になってしまうのも無理は無いか…」
その時、再び背筋がゾクリとした。まさか…再び怨霊が現れたのだろうか?恐ろしくて振り向く事も出来ない。
「彼女との待ち合わせまで後どのくらいだろうか…?」
腕時計を見ると、いつの間にか時刻は午後6時を過ぎていた。
「え?!もうそんな時間だったのか…急がなければ!」
ノートPCの電源を落とし、貴重品を持つと急いでホテルを後にした―。
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