天才?八木教授の日常

山羊

第1話 ラインをする時間は考えよう


 深夜3時…睡眠時間のゴールデンタイムを迎えている時間。

田中は、布団にくるまり爆睡していた。


夢の中。


目の前には一本の木。その下に佇む1人の少女。


顔は見えない。田中はその木陰に収まる少女を見つめていた。

ドキドキしていた。高鳴る心臓。


少女はゆっくりと口を開く。


少女「田中くん。」


田中「は…はい!!


心音は徐々に跳ね上がっていく。


少女「実は…私…田中くんの事が…」


田中「え…え!!?」


ドキドキはクライマックスを迎えた。

この展開…絶対告白されるやつだ!!

期待を昂らせた田中に少女は言葉をゆっくりと吐く。


少女「…ライン♪」


田中「は?」


少女「ライン♪ライン♪ライン♪ライン♪」


止まらぬ少女の口から出る甲高い声に田中は、目をきょどらせていた。


少女「ライン♪ライン♪ライン♪ライン♪ライン♪」


田中「う…うわぁぁぁぁぁぁっ!!」


夢から覚めた。

体全身から汗が流れ出ていた。

寝場所の近くに置いていたマナーモードにし忘れていたスマホが鳴っていた。


『ライン♪ライン♪ライン♪ライン♪』


怒りに震え上がった。

こんな時間にラインを送ってくるやつなんてあいつしかいねえ!!


スマホの通知欄を見ると、やはり、八木教授からだった。


『緊急事態』

『すぐに来て!!』

『た』

『す』

『け』

『て』

『笑』

『(熊のスタンプ)』


こんな嫌がらせのような連投をされて、田中は、パジャマ姿のまま急いで八木教授のアパートまで走った。


アパートの階段を駆け上がり、部屋の扉を勢い良く開けた!!


こたつに入って深夜の通販番組をねっ転がりながら死んだ目をして見ていた八木教授がいた。いきなり、勢い良く空いた扉の音にびっくりして、田中の姿を確認し、怒鳴った。


八木教授「おい!!何時だと思って」


田中「告白の邪魔してんじゃねえぞこのクソ教授がぁぁぁっ!!」


八木教授「え、、、告白…!!」


八木教授は、物凄い剣幕で睨みつけてきた田中にびくついた。


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