第2話

智美の主治医から私へ、智美の病名と症状について説明があった。


智美は双極性障害だという。

何でも、治療し続けないと躁と鬱を繰り返すとの事。

躁はテンションが高い状態、鬱はテンションが低い状態だそうだ。

今回入院して保護室へ隔離された理由は、智美は激しい躁状態になり、高額な買いものをして借金をし、人間関係でトラブルを起こしていたそうだ。

もともと、智美は数年前から心療内科のあるクリニックに通っていたらしい。

その時から内服していた薬の副作用で躁転し、クリニックから今入院している病院へ転院したようだ。

主治医は、智美にも病名の告知をしている。後はあなたが支えてくださいと。

鬱に入ると、自殺企図が出てくる可能性もあるからだそうだ。


智美が借金をする?

人間関係でトラブルを起こす?

信じられない。

あんなに優しくて元気な智美が…。


私に言ってくれたら良かったのに…。

私なら、苦しむ前に止めてあげたと思う。

でも、人は本当に辛い時には、他の人に苦しみを言えないものかもしれない。


再び智美の部屋へ入る。


「先生から聞いた?」


「うん」


「躁状態で借金して首が回らなくなって、最後は自転車操業だったよ」


「そうだったんだ。大変だったね」


「どうしようもないね」


「うーん、どうすればいいと智美は思っているの?」


「今はまだよくわからないよ」


「そっか」


「私ね、一つだけやらなければいけない事がある。自己破産しようと思う」


私はショックを受けて手が震えた。


「自己破産って…。」


私は本当は、智美の借金を肩代わりしようとしたかったが、智美にとっては良くないと思い、胸の内をさらけ出すつもりはなかった。


智美は住まいはどうするのか。

私は胸が苦しい。

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