それでも親友を愛せますか

milly@酒

第1話

私は高校生の時、同級生の智美に好意を抱いていた。

ただ、思春期の一時の気の迷いみたいなものかもしれないと思い込むようにしていた。

私と智美はとても仲がよかった。親友といっていいだろう。


大学は別々となり、これで縁が切れたかもしれないと私は思った。

しかし、智美から頻繁にメールが来るようになり、私と智美は繋がっていた。


そして、私は大学院へ進学した。智美は大学卒業後、社会人となってお互いに離れた。


卒業後、私は医療器機メーカーに就職した。

女性としては高額な給料をもらい、仕事も私生活も充実していた。


それから数年後の話。


昼休み中に智美からメールが届いた。

開いてみて驚いた。


「私、今入院しているの」


えっ、どんな病気で?


「連帯保証人になってくれないかな?」


二つ返事で「いいよ」、と私はメールした。

たいした金額ではないし、智美には親も親戚もいないのを知っていたからだ。


私は仕事が終わると、すぐに智美のお見舞いに行った。


連帯保証人になるために受付で一筆書き、智美の入院している病室へ向かった。

個室だ。

ノックして部屋へ入った。


「美穂ちゃん…。」


智美は泣いていた。


「今まで保護室にいたんだ」


保護室って?

確か、暴れる人や自殺企図のある人が入れられる独房みたいなところだったはず。


私は智美の手を握った。

手は冷たく、少し震えていた。


「美穂ちゃん」


「ん?」


「先生から保護者へ話があるって言われたんだ。聞きに行ってくれないかな?」


「いいよ」


「ありがとうね。私の親友は美穂ちゃんだけだから」


「私の親友だって智美しかいないから」


その後、主治医から智美の病名と症状を聞く。

それはとんでもない内容だった。










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