無視

「おはようー、橘さん」

男子はこぞって彼女に挨拶し、

「あ、おはよ」なんて返しを貰ってた。

俺もその返しがほしくて、

「お、おはよ」って小声で言うけど。

彼女からの返しなんてものはなくていつも決まって無視されてた。


「シンジ、おまえさ、

橘に嫌われているんじゃね?なんかしたのか?」


俺の親友のシンヤが心配してそう問いかけて

くれるが、俺は差し当たって彼女になんかした覚えはなかった。


「なんもしてない」


「マジか…なんもしてないのに、あの態度なのか。橘はさ、男子に愛想いいだろ。

この陰キャの俺にもおはようなんて笑顔で返してくれるしさ」


「シンジだけだよ、ほんと不思議。

シカトされてっし、目も合わせてもらえないみたいだし。かわいそうだななんか」


「何故だかはわかんないけど、

まぁ、ちょっと悲しいな」


いつしか俺は彼女に無視されるのがこわくなり、声をかけるのをやめることにした。


だが、ある日。

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