みたことのない世界
ラッパー 伝説
序章 物語を紡ぐ「人」、あるいは「奇怪」
草原にある本が数冊置いてある机に向かって腰かけ、ただただ物語を紡ぐ人が、
「いる」
いるというのは存在すると言うこと、それはもっとも恐怖すべきであり、畏怖も感じることである。なぜかって?
この人は「感覚」と呼ばれるものが一切喪失しているのだ。
「感覚」を喪失して人は生きていけけるものなのか?
知り得る限り「否」だ。しかし強烈な「目的」や「欲望」に根ざした「意識」があるなら人は「感覚」を喪失しても生きていけるだろう。
だがこの人には「目的」も「欲望」も内包していない。
ではこの人は、人間なのか?
「そう」
でもあり、
「そうでない」
とも言える。
生きているのか死んでいるのか? まるでふらふら明滅して、
だがよく考えてみて欲しい。
「生きている」のなら「死んでいない」のか? なんだそれ?
「死んでいる」のなら「生きてはいない」のか? 理解できていないよね?
言葉遊びはたくさんだ、この人が死んでようが生きてようが知ったことではない。
ここで言っていきたいのだが、「時間」の流れを宇宙の真理だと信じ切っている人間があまりにも多すぎる。
「時間」なんて人類が自然の摂理を理解しようとして勝手に「捏造」した物差しにしか過ぎないのだ。科学でも、真理でもなんでもない。
ではなぜ後生大事にする?
それはそれなしでは人類は何も理解できないからだ。幼年期、人類は決定的に知能が低い種族なんだ。知能が高かったから地球上で万物の頂点に気づいたのではない、それは奢った妄想だ。
この人はそれを知ってる、そう人類がここまで来たのは知能なんかではない、
「声」と「手」があったからなんだよと。。。
人類がさもしいながらもここまで来たのを「文明」のおかげだとするのならそれは情報の伝達によるものだ。
インプットとアウトプット。。。 これに尽きる。。。
だからその人はひたすら書き続ける、過去も未来もなく書き続ける。
だがその人に「現在」と言う時制はない。みんなだってそうだろう?
「今」って感じたことがあるか?
ないだろ? そんなものただの「虚妄」なんだから。
だが気になることが一つだけある。
その人の机の上に置いてあった数冊の本っていったいどんな本なんだろうね?
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