第二十二話 新たな仲間と、豪華な報酬
僕は、しばらくシンシアと二人で宴を楽しんでいた。
すると宴の最中に、村長とカミーラが僕たちの元へやってきた。
「カミーラ、ほら。自分で言うんだ」
村長がカミーラに何かを促している。
「ううううぅ、姉上、恥ずかしいですぅ」
カミーラは村長の傍でもじもじするだけだ。
「はあ、実は、オマエたちに頼みがあるんだ。カミーラを、この子をいっしょに連れていってくれないか」
「「え、ええ?」」
僕とシンシアは驚き、同時に声を上げた。
「この村のしきたりでな。15歳になる頃に、村を出て外の世界へ修行へ行くことになってるんだ」
「そ、そうなんですか?」
「ああ、カミーラももうすぐ15だ。少し早いがちょうどいい。いっしょにパーティに入れてやってくれないか」
「ほわわ~、恥ずかしいのですぅ、恥ずかしいのですぅ」
戸惑うカミーラを見ながら、僕はシンシアの方を見た。彼女はニッコリと微笑み頷いている。
シンシアも僕と同じ気持ちのようだ。
「カミーラ……君は、どうしたいんだ?」
僕はカミーラの目を見てまっすぐに尋ねた。
「ううううぅ」(恥ずかしいなんて言ってる場合じゃない!)
そしてカミーラは僕の方を見てハッキリとこう言った。
「ううううぅ、ラルクぅ、アタシを冒険に連れていってほしいのです!」
「ふふ、よく言えたね。こちらこそよろしく頼む」
「カミーラさん、よろしくね」
僕とシンシアは、カミーラに挨拶をした。
「うううぅぅ、よろしくなのですぅ!」
こうして恥ずかしがり屋な『大戦士』カミーラが仲間になった。
翌日、僕が身支度をしていると、村長が傍に来て僕に声をかけてきた。
「妹をよろしく頼む。この村は男子禁制だからな。村の女は外で子供を作って村に帰って育てるんだ。まあ、カミーラにはまだまだ先のことではあるだろうが。よろしく頼むぞ、ラルクよ」
「え? は、はあ。わかりました」
(えーっと、どういうことだ? とりあえずカミーラをいっしょに連れてってくれってことだよな)
カミーラが身支度をしに家に行って戻って来た。その背中には封印されていた聖剣をこしらえている。
マウリの里にずっと封印されていた聖剣は、里の一番の戦士の手によって封印を解かれた。これでよかったのだろう。彼女が聖剣を引き抜いたのはやっぱり正解だったようだ。
「カミーラ、その剣とても似合ってるよ。パーティの火力要員は任せたぞ!」
「ほわわ~、頑張るのですうぅ!」
カミーラは旅支度で、外套を羽織っていたが、相変わらずその下にはビキニ型の鎧を身に着けている。
「それにしてもその格好で冒険に出るのか。王都では目立つだろうなあ。男の視線を集めまくることになるぞ」
「ほわわ~?」
カミーラは自分の恰好を改めて見てから、僕の顔を見た。
「え?」
僕は彼女の身体を見ていた視線を泳がせた。なんだか目のやり場に困ったのだ。
「恥ずかしいのですううぅ。見ないでくださ~~~い!」
なんと、カミーラは自分が露出の多い恰好をしている自覚が無かったようだ。急に恥ずかしがって体を隠しだした。
「えええ! 今更だなあ!」
僕とカミーラがそんな会話を繰り広げていると、シンシアがやってきた。
「何をしているんですか! ラルクさん! カミーラさん!」
シンシアは何か怒っているんだろうか。なんだか目が怖い。
「ああ、ごめん。じゃあそろそろ王都に向けて出発しようか」
僕たちが村を出ようとしたとき、村長が慌てて何かを持ってきた。
「おーい、これを忘れていた。もぬけの殻になった禁忌の洞窟に眠っていたクリスタルだ。何かの素材になるかもしれないから持っていくといい」
村長は僕に青く輝くクリスタルを渡してきた。拳2つ分ほどもあるとても大きなクリスタルは膨大な魔力を内包しているのだろう。何かこう、ビンビンと伝わってくるものがある。
「うわあ、すごいキレイなクリスタルだ。とんでもない魔力を秘めていそうだね」
「洞窟の中で長いこと魔物たちの魔力によって凝縮されたのだろうな。オマエなら、人々の役に立つ使い方をしてくれると信じている。ぜひ持っていってくれ」
村長がそう言ってくれて素直に嬉しかったので受け取ることにした。
「あとは、ここまでの大きさではないが、小さなクリスタルの欠片も洞窟内に無数に散らばっていたのでこれも持っていってくれ」
村長は、キレイなクリスタルの欠片がいっぱい詰まった大きな袋を渡してくれた。
「ありがとうございます。これはギルドへのいい手土産になりそうです」
こうして、僕とシンシアとカミーラは、マウリの里を後にした。
王都に帰ってから、ギルドにはまたいい報告ができそうだ。
しかし、この時の僕たちは、エリックの往生際の悪さを、わかってはいなかった。
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あとがき
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