Sランクパーティを追放された荷物持ちは、大聖女とイチャラブしながら成り上がる。ヘイト管理の重要性にようやく気付きましたか?~今さら戻ってこいと言われても、もう手遅れです~
第二十話 『†栄光の騎士団†』の哀れな末路
第二十話 『†栄光の騎士団†』の哀れな末路
僕に敗北したエリックは地面に這いつくばり、最後に、僕に向かって必死に何かを訴えようとしていた。
僕は、エリックのことを哀れに思い、言葉をかける。
「エリック……君はどうしてこんなことを……」
「そうだ! ラルク! もっと俺の名前を呼べ! お前には俺が必要だったはずだ! それは俺も同じだぞ! また戻ってこいラルク! お前は俺のパーティに必要なんだ! 俺たちのパーティにまた戻ってこい! 『†栄光の騎士団†』をまたいっしょに盛り上げようじゃないか!」
エリックは、むちゃくちゃな持論を展開している。その場の全員が静まり返って彼の暴論を聞いていた。みんな、エリックが何を言っているか全然わからないという顔をしている。
その時、シンシアが前に出て、エリックに向かって話しかけた。
「あなたは、最低の人間です! 一生懸命に仲間を想って行動していたラルクさんのことを何もわかっていません! それでも仲間だったんですか? あなたはリーダー失格です。そして罪を償うべきです! 何が栄光の騎士団ですか! あなたにはこの先何の栄光も待ってはいませんよ!」
シンシアは強い表情でそう言い切った。
エリックは彼女の言葉に
そして、カミーラもエリックに向けて言葉を放つ。
「ほわわわ~、あなたは、とても悪い人なのですぅ! 村を救うために、頑張ってくれたラルクを、あなたはわけのわからない理由で攻撃しました。アタシはあなたを許しません! あなたがオトコだからではありません! あなた自身が悪人だから許さないのですう!」
カミーラの言葉を聞いたエリックは、もはや目の焦点が定まっておらずピクリとも動いてなかった。。
「シンシア、カミーラ。俺のために言ってくれてありがとう」
シンシアの方を見ると、彼女は限界だったようだ。ウトウトしながら
「シンシア、お疲れ様。もう休んでいいよ」
彼女に近づいて声をかけると、僕の腕に身を預けてきたので。近くの家屋に運んで休ませてもらうことにした。
その後、エリックが死なないように、かといって完治しない程度にアリサがヒーリングをしたようだ。
そして、英雄アレスがエリックを拘束し、村の外に止めてある馬車に連行した。今日のうちに王都に連れて行き、後日裁判が行われるようだ。
エリックを連行する別れ際、英雄アレスとアーサー殿下が僕に声をかけに来てくれた。
アレスは僕にこう言った。
「ラルクさん。今回の君の活躍は、目を見張るものがあった。今回の件は本来なら国の軍が出動しなければいけないほどの緊急事態。それをたった数人で収めてしまうとは大したものだ」
「いや……そんな、僕は何もしていません」
英雄と呼ばれている彼に、そこまで褒められるのはなんとも心地よかったが、今回はどちらかといえばシンシアとカミーラのお手柄だ。僕はほぼ何もしていない。
「まさかエリックがあそこまで暴走するとはな」
アレスは厳しい表情をして言った。
「エリックはどうなるんですか?」
「彼には、数々の暴言、暴力行為が見られた。そして今回、何の罪もない君に襲いかかり、刃を向けた。見過ごすわけにはいかない犯罪行為だ。なので王都に連行して裁判にかける。冒険者としてもこの先活動することはないだろう、もちろんギルドも除名だな」
「そうなんですね、じゃあパーティは」
「残念だが、彼のパーティ『†栄光の騎士団†』は解散だろう。犯罪者が出たパーティがそのまま活動を継続した例はない」
「詳しいんですね」
「うむ、まあな」
そこでアーサー殿下が、僕とアレスの顔を交互に見て、口を開いた。
「アレスは昔、冒険者だったんだ。その時の功績を国に認められて騎士団に推薦されたらしい、そうなんだろう?」
アーサー殿下がそう言って、アレスに問いただすと彼はうなずいた。
「そうだったんですね。それで、ノエルやアリサ、アーサー殿下もパーティを脱退ということになるんですね」
「僕や他のみんなのことを気遣って心配してくれるのか。君は本当に優しいな、ラルク」
アーサー殿下が僕を見てそう言った。
「君みたいな冒険者ばかりなら安心してアーサー殿下を任せられるのだが、本当に、あのエリックというヤツには困ったものだ」
アレスは苦虫を噛み潰したような顔をしている。
「アレスは心配性だな。僕だって次に入るパーティはしっかりと見極めるから大丈夫だよ」
「アーサー殿下は、これからどうするんですか」
「僕は、次に入るパーティを探すよ。しっかりと仲間の人柄を見極めてね」
「そうですか。王子でありながら国民のために冒険者として活動するなんてご立派ですね」
「いやいや、そんな大層なものではないよ。最初のキッカケは、ただ王宮にいるのが退屈だっただけさ。でも今は目標ができた。僕は君のような冒険者になりたいと思ったよ。ラルク」
「とんでもない。もったいないお言葉です」
僕は殿下に頭を下げてお礼を言った。
「僕達は先に王都に戻るけど、落ち着いたら王宮に顔を出してほしい。君のような優秀な冒険者を、父上にも是非合わせたい。いいだろう? アレス」
「ええ、それは私も賛成でございます」
するとそこに、ノエルとアリサが現れた。二人ともバツが悪そうにしている。
「ラルク、エリックを止めてくれてありがとう」
ノエルが悲しげな顔をして、僕にそう言った。
「いや、まあ、エリックの言動や行動は身勝手過ぎた。君たちもいろいろと大変だったんじゃないか」
「ええ、でも言い訳はしないわ。私たちもエリックについていってたんだから」
「うん、アタシたちが間違ってた」
ノエルとアリサは、僕の顔をまっすぐに見て言った。
「ラルク、今までひどいこと言ってごめんね」
「ほんと、アタシも色々と間違ってた。ごめん」
彼女たちの顔には、ウソもためらいもない。素直な心からの気持ちだろう。
彼女たちが、過去に色々とひどいことをいっしょに言ったのは事実だ。
しかし、それはエリックが扇動していたところも大いにあると思う。
僕も鬼ではないので、一応彼女たちを許すことにした。
「もういいよ。水に流すさ。君たち二人はこれからどうするの」
「エリックが捕まってパーティは解散だしね。しばらくはおとなしくするわ」
「アタシも、実家に帰っておとなしくしてる」
犯罪者のエリックと同じパーティにいたという理由だけで、彼女たちは後ろ指を刺されるかもしれない。しかしそれは仕方のないことだ。
彼女たちは、そのことをしっかりと理解しているかはわからないが、しばらくは怖くて外も出歩けないだろう。
「私達は先に王都に戻る。ではこれで」
そう言って、アレスとアーサー殿下、ノエルとアリサは一足先に王都に帰って行った。
僕は、家屋で休んでいるシンシアのことが気になったので、彼女の様子を見に行くことにした。
ここは男子禁制の村だが、今だけは特別に自由に歩き回る許可をもらっていた。
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あとがき
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6/8に新作を投稿しました。こちらもお時間ありましたら、御覧ください。
一話冒頭からのえちえち展開、是非お楽しみください。
↓こちらがURLです
https://kakuyomu.jp/works/16817139555350003894
↓タイトル
ハズレスキル『勃起』、実は最強スキルだった。俺はえちえちスローライフを楽しむので、魔王討伐はお前たちに任せた!
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