【190万字!】ロベルタ・ロサリタ ~ランジェリーデザイナーになった異世界転生勇者の話~

しじみ汁

第一章 出会い

第一話 夢巡りで女の子たちと出会う

 女の子がいっぱい出てきて、おバカで少しエッチな展開がある物語を書きたくて投稿しました。

 楽しい気分になって読んでもらおうと、意地悪な場面を極力書かないようにしています。

 どうぞよろしくお願いします。


 ★新作、『二十五年後のヴァルデマール ~ベアトリーチェと幼なじみジーノの成長~』も公開中。


◇◇◇


 ん? ここはどこだ?

 目に映る光景はまるで、映画で見たことがある中世ヨーロッパ貴族のようなパーティー。

 外国人がたくさんいて、そこで私と可愛らしい少女が二人でクルクルと回ってダンスをしていた。

 彼女はまだ中学生ぐらいの幼さだ。


「マヤ様、ダンスがお上手になりましたわね」

「君のおかげだよ。いつも一緒に踊っていればね」

「うふふ……」


 少女が笑顔で話しかけ、私がそれにこたえる。

 自分の意志とは関係なく喋っていた。

 それにしてもこの少女の愛くるしさは、顔を見てるだけでこちらが照れてしまうほど。

 美しいブラウンのロングヘアー、目がぱっちり、鼻がスッと伸び、ぷるんとした小さな唇の、非の打ち所がない完璧な美少女だ。

 冴えない男と自覚している私が、何故こんな可愛いと踊っているのだろうか。

 彼女が着ている衣装はロココ調のドレスに近いが、スカートが短めな可愛らしいコスプレドレスのよう。

 わわっ 踊りながら抱いていると身体に当たってるこの感触は……

 発育が良いのか、グラマーだな。


 ううっ この、可愛すぎる!

 そして良い匂い…… ふわぁぁ

 これは夢なのだろうか?

 夢なら覚めないでくれ……

 あ…… あれれ?

 視界が光に包まれ真っ白になっていく。そんなあ――


---


 白い視界から覚めると、私はベッドで寝転んでいた。

 そして布団を頭まで被っている。


「マヤ様、マぁヤぁさまぁ! 起きて下さい! 目は覚めてるんでしょ? 早くお布団から出て下さい!」

「うぅぅ…… 俺はまだ布団の中の住民でいるんだ」

「もうっ いつも寝ぼけたことを! お布団を取りますからね!」


 今度はメイド服を着用している浅黒肌の黒髪ツインテール美少女に、無理矢理起こされている。

 私が寝ているのは、今まで実物を見たことがないような大きくてふわふわなベッドだ。

 まだ眠いのに、ツインテのメイドさんに思いっきり掛け布団をぎ取られてしまった。


「きゃっ またですかっ!」


 うお!? パジャマのズボンには、テントがにビンビンと張られている。

 歳を取ってからこんなこと滅多になかったのに、まるで若返ったようだ。

 ツインテール美少女メイドは、カッと目を見開いて私をギロッとにらんでいる。

 嫌な顔をされながら―― 私はそういう属性が無いんだが。

 おおっ この娘もおっぱいが大きい!


 ――ありゃりゃ!? また視界が白くなる!

 可愛いツインテメイドさん待ってくれええっ


---


 三度目の場所は、大きな洋館にある広い庭だ。

 その庭にあるガーデンテーブルで、綺麗で色っぽいお姉さんと何かを勉強していた。

 彼女は魔法使いみたいなとんがり帽子を被り、紫のジャケットとミニスカを着ている。


「ねええ、マヤ君。お勉強が終わったらお姉さんといいことしようよ」

「うへぇぇ そんなにくっ付かないでよね」


 このお姉さん、私にすりすりと頬ずりをしてきて少々鬱陶うっとうしい。

 が、めっちゃ良い匂いがするぅ!

 なんの香水だろう。甘くてとても官能的な、男を惑わす香りだ。

 ジャケットの下に着ている白いシャツはボタンをいくつも開けているから大きく胸がはだけており、谷間がはっきり見える。うひょひょ

 ミニスカ姿で露わになっている太股の間からは、ぱんつが見えそうで見えない。

 とても美味しそうな太股ふとももで、私の方がこっちに頬ずりをしてみたい。

 ――うわっ またも良いところで場面が変わるぞ。


---


 ここは広い丘の上。

 欧州風の街並みが一望でき、とても景色が良い。

 隣には白い髪の毛のくりくり子猫のような目の女の子がいて、二人で座っていた。

 あれ? 頭には猫みたいな耳があるぞ!

 デニムのショートパンツからは長くて白い尻尾が出ていた。

 それ以外の見た目は人間と同じで、ショートパンツから伸びている健康的な太股ふとももはすべすべピチピチだ。


「マヤさん、が作ったサンドイッチとタコスの弁当だニャ。早速食べるニャ」

「おお、美味しそうだね」

「ふふん、当たり前だニャ。の料理は何でも美味いニャ」


 猫娘はそう言いながら天狗になっている。

 どうやら私は猫娘と丘へピクニックをしに来ているらしい。

 タコスだって? 猫ってからい物が食べられないんじゃないの?


---


 また急に場面が変わった……

 一体何だっていうんだ。


「ふぅんっ! どうしたマヤ? 剣を扱っている時は強いのに体術はいまいちだな!」

「ぐ、ぐぬぬぬ……」


 ここは剣や槍を持った兵士がたくさんいる、運動場のような場所。

 私は金髪お団子頭で筋肉の付きが良いクッコロ女子と、取っ組み合いをしている。

 お互いの両手を組んで力比べをしているが、この子はやたら力が強い。

 タンクトップでズボンは軍用。まるで傭兵ようへいみたいな姿だ。

 こぼれそうなほどの胸の谷間が、そのタンクトップから覗いている。むっひょー


「どりゃぁぁぁ!!」


 私が胸をチラ見した一瞬に気が抜けてしまったようで、体勢が崩れて後ろを取られヘッドロックを掛けられてしまった。

 おうふっ…… お互い汗まみれの身体が密着する。

 苦しいけれど、大きな胸が頬に当たって気持ちいい……

 ふにょふにょだあ。


---


 ――あああ

 せっかくクッコロ女子のおっぱいを堪能たんのうしていたのに、またも場面が変わる。

 私の隣にいる綺麗な女性はシスター?


「さあマヤ様、女神サリ様にお祈りをしましょう」

「はい」

「「愛と慈母の女神サリよ。我らに大いなる愛といつくしみをはぐくみ給え。祝福と安らぎを与え給え。ダノス・アモール――」」


 誰もいない教会の一室に、キリスト教の神官のような祭服を着た女性と、私がいる。

 そして目の前にある女神像に向かって二人でお祈りをしているところだ。

 銀髪で色白、清楚で大変美しい女性だ。

 彼女の瞳は碧と灰色!?

 なんと、オッドアイやヘテロクロミアと言われる左右違う目の色をしていた。

 彼女の容姿も相まって、とても幻想的な美しさだ。

 そんな女性が目の前にいるなんて過去に体験したことが無いのに、リアルさが半端ない。


 ああ…… また視界が白くなっていく……

 彼女をもっと見ていたかった……


---


 ええ!? ブラジャーと女性モノのぱんつがいっぱい!?

 しかも高級そうで、とてもセクシーなランジェリーを着けられているトルソー(※胴体だけのマネキン)がいくつも展示されている。

 そして私のそばにレジカウンターがあり、店員らしい欧州系の綺麗な女性が二人。

 ここはランジェリーショップなのか!?


「マヤ様! 今期も最高売り上げを更新しましたわ! マヤ様がデザインしたこのふんどしショーツと、ピンク色の可愛いボクサーブリーフが特に好評なんです」


 三十代半ばくらいの細身で綺麗な女性が、私にそれらの下着を手に掲げて見せてくれている。

 彼女は膝丈のタイトスカートを履いており、社長夫人のような雰囲気だ。

 何故私はそんな女性と仲良しに?

 私がその下着のデザインをしただって!?

 そんな才能、私は持ってないぞ!

 ううん―― 確かに私は女性の下着が大好きなんだが……

 いやいや。男の性欲として標準的な範囲だぞ、たぶん。


「マヤ様のブランド『ロベルタ・ロサリオ』の白いTバック、今履いているんですよ。旦那もすごく喜んでくれて…… うふふっ」

「それは良かったです」

「マヤ様はまさにこの国の下着の革命家ですね」


 もう一人の女性はそう言いながら後ろを向き、スカートを履いたお尻をクイッと私に見せつける。

 うひょー 大きすぎず小さすぎず絶妙なサイズのまるっとしたお尻。

 Tバックだから確かにパンティーラインは見えないな。

 彼女は明るいブラウンのウェーブボブヘアで目がぱっちり、色白で愛らしく二十代半ばと思われる。

 旦那がいるんだなあ。ということは人妻のお尻を見せつけられているのか!

 そんなこと今まで無かったぞ。どんな職場だよ。

 いや―― それよりも『ロベルタ・ロサリオ』が私のブランドという、聞き捨てならぬ言葉が聞こえた。

 Tバックも私がデザインしただと?

 ロベルタ・ロサリタブランドのきっかけはずっと先の話になるが、今の私には知る由も無かった。

 あうう…… また視界が光に囲まれ白くなる――


===


 う、うーん……

 私の部屋の天井が見える…… 布団の中にいる。

 今のはなんだったんだ? 夢だったのか…… うーん――

 女の子がたくさん出てきていたけれど、どんな姿だったのかもう忘れてしまった。

 夢というのは起きた後も時々はっきり覚えていることがあるが、だいたいは忘れてしまうものだ。


 私は毛利麻也、もう五十歳になる。

 残念ながら結婚経験が無く嫁も子供もいない一人暮らし。

 見た目は中肉中背だと思う。

 若いときは彼女がいたこともあったが、それほど女性との付き合いが得意ではなかった。

 三十代半ばを過ぎて見た目も中年おじさんと呼ばれる姿になってから、女っ気がなくなってしまった。

 職場の女性と仕事上の話をするくらいである。


 私がやっている仕事はとある地方都市にある大手ホテルグループのホテル支配人で、悪戦苦闘の毎日。

 支配人というと聞こえは良いが、言うなれば雇われ店長と同じ。

 本社の上司とホテルで働いている部下に挟まれた中間管理職だから、なかなか大変な立場だ。


 そんな私の楽しみは、帰宅してからの一杯のビールと、子供の頃から好きだった漫画やアニメを見ることだ。

 オタクと言えるほど突っ込んだ知識は無いが、視聴した作品の数はかなり多いのではないかと自負している。

 昭和の格闘ヒーローモノから、平成令和の異世界転生モノまでいろんな作品を見てきた。

 二年前に支配人になってから立場的に忙しくなり、自宅と職場を往復するばかりの毎日だ。

 アニメ視聴を消化するのも大変になってきたが、お手軽にストレス解消になるので、この趣味を持っていて良かったと思う。

 でも、このままで良いのか。

 孤独死する高齢者の話をよく聞くので、自分もいつかそうなってしまうのではないかと不安になる。


---


 某月某日。この日はクレーム処理があり、片付いたら午後十一時になっていた。

 何でも、お客様の一人が電話で予約したのに予約が入っていないということで、六十代の男性だったがかなりご立腹だった。

 この場合、間違えた日にちを思い込んだり、全く別のホテルを予約して本人が忘れていることがある。

 パソコン端末で予約名の検索しても出てこないので、過去の無断不泊該当分か、別のホテルの予約だった可能性が高い。

 幸い一部屋だけ空いていたのでご案内出来たのだが、このお客様は沸点が低いのか早いうちから怒鳴り散らしていた。

 若い女性のフロント係では対応出来そうになかったので私の出番となり、それでもお客様をいさめるのに時間がかかってしまった。

 おいおい、そんなに怒っていても時間が経つばかりで自分が損するばかりだぜ。

 きょうび楽なインターネット予約があるのに、電話予約するなら予約内容をメモしとけよ、なんて怒鳴られながら思っていたがそんなことは口に出せない。

 接客業のつらいところだが、ここまで媚びる必要など本当は不要だと思う。

 サービス業従事者は奴隷じゃないし、【お客様は神様だ】という言葉を勘違いしている人が未だにいるのは残念だ。


 ――さて、すっかり遅くなってしまった。

 夜勤社員に事を引き継ぎ、帰宅するために社員駐車場からマイカーに乗る。

 帰り道は国道を走る。

 この道は日本列島を縦貫する幹線道路の一つで、深夜は長距離トラックが多くなる。

 今は見通しの良いまっすぐの区間を走っている。

 目の前が突然、まぶしいライトに照らされる。


「え?」


 私の車は対向車線をはみ出していた。

 急ブレーキをしたが避けきれる間もなく――


「はっ!? うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 私が乗る車とトラックは正面衝突してしまった。

 原因は私が疲れで瞬間的に居眠りをしたからのようで、当然車は大破してしまった。


 なんだ……

 俺、どうなっているんだ。

 痛いのか……

 痛すぎて痛みもわからないくらいだ。

 母さん…… 母さんの顔が浮かぶ……

 これは走馬灯? いろんな人の顔や景色が視界に流れてくる。

 子供の時の家族の姿、若いときに友人らと楽しく飲み会をやっていた時、二十年以上前に付き合っていた彼女……

 なんだってこんな時にあのの姿が。


「あぁ…… 俺も結婚したかったなぁ……」


 ――声にもならなかったが、それが私にとって最後の言葉になった。

 

 毛利麻也 享年五十

 

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