農家の休日!

@ss9

第1話

 農家の朝は、早い。朝、5時に目を覚まして「さあ、今日はブロッコリーの苗植えの準備だ!」と布団を畳み、部屋のカーテンを開ける。


 窓からさす、朝日が眩しい……ん?


 「雨が降ってる……嘘だろ!寝る前の天気予報だと晴れって言ってたじゃねぇかよ!ネットの天気予報でも晴れるってなってたよな?」とポケットから携帯を取り出す。


 携帯の電源を入れ、天気予報アプリを開く。


 「〇〇市…快晴…乾燥注意報……って、今、目の前で雨降ってんだけど!乾燥どころか…めっちゃ潤ってますけど!」と1人携帯にツッコミを入れる…俺!


 「はぁ〜……この前の雨で濡れた畑がやっと乾いたと思ったら……また、雨かよ!」


 うちの畑は、濡れてしまうと土がぐちゃぐちゃになってしまう。


 通常、苗を植える前にいろいろな準備があるのだが、その一つに畑を耕して畝(うね)と呼ばれる苗を植え付ける30cm位の山を作る。


 その畝を作るのに、マメトラと呼ばれる耕運機(こううんき)を使用する。マメトラのお尻部分についている刃が周り、土を耕していく。


 畑がぐちゃぐちゃしている状態で耕すと、畝が土の塊の山になってしまう。そのまま、時間が経ち、乾いてしまうと、土は塊のまま石のように固くなってしまう。


 その状態で苗を植えるのは、石だけの中に苗を植えるようなもの。ちゃんと植えることができずに、大きくならずに枯れてしまう。


 そんな状態になってしまうので、雨の日は大抵休みになる。

(野菜の収穫の時は、雨の中でも雨具を着て野菜を取りに行くこともある)


 寝床の近くにあった電子タバコをとって、煙を体に入れる。


 「すぅー……はぁ……まあ、イライラしてもしょうがねえか。自然様も今日はご立腹ってことで静かにパチンコにでも繰り出しますか!」と朝ごはんを適当に済ませ、近くの24時間やっているゲームセンターに行き、メダルゲームのジャラジャラで準備運動。


 「さあて、軽く遊んであげますか!」と意気込みと共にメダルを投入。


 3時間後……


 「むっはっはっは……メダル500枚だぜ!これまでの貯めてきたメダルと合わせて2000枚!メダルだけは負け知らずだな!」


 その後を30分遊ぶ。


 「これで最後の一枚にするか……俺の右手が火を吹くぜ!ゴットフィンガー!」と勢いよくメダルをぶち込む。


 さあ、スロットが回り出した。最後くらい大当たりを……


 「……」


 緊張の中、1つ目のボタンを押す……7!2つ目のボタン……7!


 「うおお!まじか!……本当に俺の右手が火を吹くのか?」


 手が震えるが、躊躇なく最後のボタンを押す……7!


 「……よっしゃーー!見たか!俺のゴッドフィンガーの威力!」と監視カメラに向かってガッツポーズ!


 「さらにメダル100枚ゲッツ!準備運動に来て正解だったぜ!これなら、本番も大勝ち確定だな!」


 意気揚々とゲームセンターを後にして、パチンコに向かう。


 「ふっふっふっふっ……この前は、お小遣いをすべて使ってしまい、奥さんに殴られたが…今度という今度は勝たせてもらうぜ!」


 奥さんに殴られてできた、古傷の右頬をさすりながら店内に入っていく。

 

 「おお!今日は、いっぱい、いんな!」


 と店内を見渡すと右奥の席のおっさんが大勝ちしていた。


 「あのおっさん、また、大勝ちしてるわ……こりゃ、俺も今日の勝利確定席に座りますか!」


 俺の勝利確定席(いつもの負けまくっている台)に座る。仏の顔も三度まで!今度こそ、本気を出させてもらうぞ!


 「準備運動で大勝ちしてきた。俺のゴッドフィンガーをくらえ!」と勢いよく諭吉様を投入。


 「俺の今月の全財産10000円!お前に全てをかける!」


 30分後……


 家に帰って、今度は、左頬に傷が出来ちまったぜ。なぁに、傷は男の勲章(くんしょう)っていうだろ?その傷がもみじの形をしてたとしても、勲章ってことよ……


 「さあて……今月は残りどうやって過ごすかな!」

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