第266話 負けられぬ戦い。⑦(※胸糞注意です※)
――ノジュ姫殿下side―― (※胸糞注意です※)
「あーあ、つまらないわ。刺激が無くってとっても暇! ダンノージュ侯爵家に喧嘩売ったくらいじゃ足りませんわね」
「まぁまぁノジュ姫殿下、最近いい気になってるダンノージュ侯爵家にビシッと言えたんですから」
「きっと他の貴族にもノジュ姫殿下の素晴らしさが伝わってますわ!」
フン、そう言う言葉を欲しいんじゃないのよ。
もっと国中を驚かせるような……こう、兄のナジュを殺すようなくらいの大きな話題が欲しいのよ。
前にナジュを殺そうとしたら失敗して、大目玉をくらましたわ!!
あれはナジュが死ななかったのが悪いんですの!!
あそこで死んでいれば、もっとも――っと楽しい事が出来ましたのに!!
そしたら国は私のモノでしたのに!!
いっそお父様を暗殺しようかしら?
国王暗殺なんて素敵じゃない?
愛する娘に毒殺される! なんて、センセーショナルですわ!!
でも、お父様ってあらゆる防御系が付与されたアクセサリーを持ってるから難しいのよね。
しかも同じものをナジュに渡すなんて!
ズルいズルい! 私も欲しいですわ!!!
「それにしても、バイリアン伯爵家の対応ったら面白かったですわね」
「そうね、娘一人が自害した位であんなに喚き散らすなんて」
「ノジュ様が夜盗に襲わせたんでしたっけ?」
「素晴らしい手腕でしたわ!」
「だって、バイリアン伯爵の娘……名前何て言ったかしら? あの女と似てたんですもの」
「あの女というと――……ダンノージュ侯爵家に嫁いだアレですか?」
「そう、アレよ」
「納得ですわ。確かにアレと少し似てましたものね」
「そうなの、知恵の女神とか言われてるアレ。本当に虫唾が走りますわ」
「でも、ダンノージュ侯爵家って強い呪いがあるんですわよね?」
「嫌だわ、呪われた家なんて。潰れてしまえば良いのに」
「本当にね、潰してやろうかしら! そしたら商売も領民もわたくしがもらい受けるの! ノジュ姫殿下領なんて素敵じゃない?」
「「「きゃ――!!」」」
「お金もたんまり持ってそうですし、わたくしもお零れに預かりたいわ!」
「ノジュ姫殿下領になるなら、さっさと明け渡せばいいのにね!」
「でも、その為の一か月後ですわよ。なにやらお父様はアイテムが本当に正当なものか調べるために高位神官の神官長を呼ぶらしいですけれど。ま、こちらの勝ちは見えてますわ。一か月後にはダンノージュ侯爵家は無くなって、あそこはノジュ姫殿下領となるのですわ!!」
そうよ、ダンノージュ侯爵家をお取り潰しにして貰って、あそこの商売も全部全部ぜ――んぶ私が貰うのよ!
お金は湯水のように使いたい放題!
領民も殺し放題ですわ!!
最初に殺すのはあの知恵の女神とか言われてる奴にしてやりましょう!
どうやって殺させようかしら?
ダンノージュ侯爵家の孫の目の前で男に襲わせて殺すのも一興ですわね!!
その後で怒りに狂った孫の首を刎ねますの!
そう言えば孫は二人いると聞いていたわ。
一人はダンノージュ侯爵領を纏めている為に出てこないとか聞いたけれど、弟の方が優秀なんじゃありませんこと?
しかも婚約者がいるという話ですし、その弟の婚約者も同じように殺してやったら楽しそうですわ!!
でも、ダンノージュ侯爵領にいるSランク冒険者は面倒ですわね。
鳥の瞳とか言う奴ら。
冒険者は国に跪かないから面倒なのよ。
そうだわ、一カ月後のイベントの時に依頼をすればいいのよ。
ダンノージュ侯爵家全員を捕らえなさいって!
高い金を積めば動いてくれるわよね!!
「一か月後のイベントの後で、ダンノージュ侯爵家全員捕らえる為に、Sランク冒険者を集めましょう! 確かナジュの方には……雪の園と言うSランク冒険者達と、朝の露と言う冒険者達が居たわね。それに鳥の瞳メンバーにもダンノージュ侯爵家全員捕らえる様に命令すれば、スムーズに楽しい事が出来ますわ!」
「流石のお考えですわ!!」
「あら、でも一日くらいは家族で過ごす時間を作って差し上げても宜しいのではなくって? 惨めに震える夜も必要ですわ」
「それもそうね! でもその間に逃げられない様にしないといけませんわね。先ぶれを出して逃げられない様にしておきましょうか」
「それが良いですわ!」
「三つのSランク冒険者に命令できるなんて、流石ノジュ姫殿下だわ!」
「当たり前ですわ! ナジュとは違いますもの!」
扇で顔を覆い、此れから始まる宴に向けて動かねばなりませんわね!
そう言えば、私と共にやってきた隣国の友人たちの姿が見えませんわ。
今日はお茶会には来ないのかしら?
お父様に飛ばされた隣国では、本当に辛い日々でしたわ。
どの貴族も私の事を怖がって近寄りもしないで。
影でイジメ倒すくらいしか出来なくてつまらない日々でしたけれど、その内お友達になった二人の男友達……。
のロットは素敵な男性ですわ。知的ですし私の手を汚さない為に動いてくれたわ。
弟のナノは体力自慢でワンコ系でしたわね。何時もイライラさせられることが多かったですけれど、私が他国の貴族に突き飛ばされたり、階段から突き落とされそうになった時は助けてくれましたわ。
そもそも、隣国だというのにその王女を突きとばしたり、階段から突き落とそうとするあの国が悪いのよ!!
隣国は皆さん見目麗しい方々が多くて目の保養にはなりましたけれど。
でも、それだけね……。
私が一番美しいと言ってくれるロットは、本当に王子様みたいで素敵っ!
ナノも私の方が美人だって褒めてくれたし? 両方私に気があるのかしら!
でも、最近は二人とも「この国をもっとよく知りたい」って言って時間を取ってくれないから寂しいわ。
そう思っていたら――。
「「ノジュ姫殿下」」
「ロット! それにナノ!!」
久しぶりに顔を出してくれた二人の元へ駆け寄ると、二人とも笑顔で私を見つめてくれたわ!!
隣国だと、走るだけではしたないとか煩かったけれど、やっぱり自国では自由に振る舞えて気が楽でいいわ!
「もう! 二人とも最近会えなかったから暇でしたのよ!」
「ははは、ごめんよノジュ姫殿下。この国は色々刺激があってね!」
「ナノはそればっかり!」
「だが、とっても刺激のある国だと思うよ。ノジュ姫殿下に着いて来てよかった」
「本当ですの? そう言ってくれると嬉しいわ! そうそう、私とっても楽しい事を思いつきましたの! 聞いてくださる?」
そう言うと、席に戻り彼女たちと会話していた事を全て自慢気に語ると、二人はとっても驚いた様子でしたわ! とっても満足してしまいますわね!!
「ダンノージュ侯爵家全員捕らえる……ですか?」
「その為にSランク冒険者を雇うと……それもSランク冒険者の3組を?」
「その通りですわ。ダンノージュ侯爵家全員捕らえて処分した後は、そこの土地を『ノジュ姫殿下領』にしますの! とってもとっても素敵でしょう?」
「凄いな……」
「とても普通じゃ思いつかないよ。しかも……陛下を暗殺しようなんて」
小声で言うナノに私はニヤリと笑って「素敵でしょう?」と答えると、ロットは眼鏡をクイっと上げて目を閉じると、暫く考え込んでいる様子でしたわ。
どうしたのかしら?
「俺とナノはSランク冒険者に憧れているんだ。その役目、俺達にしてくれないか?」
「え――……また暇になるわ」
「帰ってきたら土産話を沢山してやるさ」
「そうだぜ? 帰ってきたらサービスするからさ!」
「まぁ! サービスって何をサービスしてくれるのかしら?」
「お菓子とか!」
「ま! ナノってば馬鹿にしてますのね!! でもナノらしいから許しますわ」
「やったー!」
「では、御二人にはダンノージュ侯爵領のSランク冒険者の鳥の瞳と、ナジュの所の朝の露と雪の園の三組に依頼をしてきてくださいませ。良い知らせを待ってますわ!」
「「了解」」
「そうそう、この間のバイリアン伯爵家ですけれど――」
その後はとっても楽しく会話して過ごせましたわ!
この二人は私にとって欠かせない存在ですわね!
二人と少しだけ会えなくなるのは寂しいですけれど、イイ女とは待てる女とも言いますものね。ロットの受け売りですけれど!
ふふふ、ロットとナノが出掛けて依頼をしてきたら、Sランク冒険者達は何て言うかしら?
『流石ノジュ姫殿下です!!』とか言うのかしら?
楽しみで仕方ないわ!!
依頼のお金もたんまり渡せば冒険者は金に汚いから言う事を聞くでしょう。
「んじゃ、俺とロットは早めに動いて依頼でもしてくるか」
「そうだな、ノジュ姫殿下に会えないのは寂しいが、イイ女の条件を忘れないでくれよ?」
「ええ、でも余り待たされたらイイ女でなくなるかもしれないわ?」
「困った御人だ」
「ふふふ」
こうして、二人が出掛けた後は近くにいるメイドに熱い湯をぶつけたりして遊んで、良い気晴らしにもなった事だし……。
やっぱり泣き喚く声は心地いいわね。
こんな声を毎日聞けるこの国は最高よ!!
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本日も一日三回更新です。
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