第142話 腐敗していた薬局問題と、当面の寒さ対策アイテム。
ポイントカード導入は、主婦の皆様には今のところ然程関係はなく、寧ろ日々の生活の為に毎日食材を買いにしていらっしゃる姿に敬意を示したいほどですわ。
それでも話として出ると「割引!」「銀貨1枚分無料!」等など、好評だったそうですわ。
ただ、冒険者の方々は、やはりポイントで水筒やアイテムボックスが欲しかったらしく、護符が大量に売れたと言う情報が入りホッとしました。
さて、話は変わり、ライトさんが手に入れてきた【薬師】たちの【薬局】の話を、今回うちで雇う事になった薬師たち9名から話を聞くことにしましたの。
「で、ダンノージュ侯爵領の薬局と言うのは、そんなに酷いものなのか?」
「酷いなんてもんじゃねーよ、カイルさん。ゴミ箱っすよゴミ箱」
「ゴミ箱?」
「そう、スキル上げも大してしてない、ちょこっとだけ効能のある物を作って高額で売る。不味さも抜群。ダンノージュ侯爵領の薬局で薬を買うしかない庶民にとって、本当に長く病気になるだけ金が溶けるように無くなる仕様なんだ。効能の良い物を作れば上から怒鳴られるし、効能が良いものを作っても売り物には出来ない。だから俺達9人は薬師協会から出て雇われ薬師になろうとしたくらいだ」
「薬師協会か……。だが、それ程までに腐敗しているなら祖父の元まで話が行くはずだが?」
「薬師協会がダンノージュ侯爵家に連絡を入れる奴を買収してるのさ。だから上に話が行かない」
「なるほど。なら俺から話をして改革に移ろうか。ただ、君たち薬師たちには頑張って貰う事になる。ダンノージュ侯爵家から誉を貰った商店街で、君たちが街の人々を助ける薬を作る事になるんだからな」
「腐った状態が綺麗に戻るなら頑張れるさ。熱を出して苦しんいでる赤子を助けることが出来ないなんて、もう二度と味わいたくない」
「そうか……」
「俺達薬師の中には、客の対応をしていた奴らもいる。症状や病状を聞けばちゃんとした薬が出せるんだ。それを薬師協会たちは……」
「……解った。急ぎの案件として祖父には伝える。だが直ぐに改革は出来ないだろう。戦う為にもあらゆる薬を用意してくれていると助かる。ダンノージュ侯爵領は今から一気に寒くなるらしい」
「風邪か……解った」
そう言うとカイルは小さく息を吐き、何かを考え込んでいるようでしたわ。
確かに病で亡くなる方が多いとは言え、薬師協会がそこまで腐敗しているとは思わなかったのでしょう。
「人災ですわね」
「人災?」
「人の命を預かる薬師が、人の命を尊とばず、金儲けの為に効果の少ない薬を出して金だけ毟り取る。それは人災ですわ。助かる命が助からないケースも多かったのでしょう」
「……」
「早急に何とかせねばならない問題ですわ。その為にもカイルはアラーシュ様にご報告し、こちらも薬局を早めに作って違いを解らせることが大切。また、薬師協会に入らず薬を売る事の許可もアラーシュ様に貰ってきてくださいませ。腐敗している薬師協会なんて入る価値がありませんもの」
「分かった」
「特例措置が必要だと言えば良いのですわ」
「そうだな、明日にでも祖父と話をしてくる」
「ええ」
「それと、他に報告があるんだがいいか?」
そう言うと集まっていた皆さんがカイルを見ましたわ。
報告とは一体何があるのかしら?
「まず王太子領にある工場について。ダンノージュ侯爵領への追加の『ガーゼシリーズ』は作り終わったからライト、明日持って行ってくれ。それと、皆が頑張ってくれたおかげでガーゼシリーズに関してはかなりの予備が出来た。それで、これからは【ほっかりシリーズ】を中心に作る事になった」
「はい、兄さん」
「どうしたライト」
「実は私からもご報告が。リディア姉さんが作ったポンチョですが、冒険者及び一般市民からの予約が殺到し、直ぐにでも作って頂かねばならない状態です。冒険者用は飾り気も無くただ上から羽織るタイプが人気で、一般市民用の男性は冒険者と同じですが、女性用がフリルやリボンがついたのが人気でした」
「「「「………」」」」
「既に冒険者で50着以上の予約、一般市民では子供を含めて300近い予約が殺到していますのでご連絡を」
「サーシャ、そっちの半分をポンチョに回してくれ」
「分かりました」
「ノマージュは、ほっかりシリーズを担当」
「了解です」
「でも、ほっかりシリーズで真冬になると中々着ていても寒さと言うのは何処まで防げるんだ?」
「雪が降る様な真冬は難しいですわ。真冬専用の物をつくりませんと」
そう、ほっかりシリーズは真冬には適しませんの。
上に羽織るものでしたら、皆さんが買っている暖かいコートの方が効果的ですわ。
「ダンノージュ侯爵領は、真冬はそれなりに寒いが雪は降らない。王都では雪が降るが」
「そうですわね」
「リディア、何か案はないのか?」
「皆さんが着ているコートやポンチョの中に着るベストを、ほっかり布で作れば暖かいくらいですわね」
「コートの中に着るのかい?」
「ええ、それだけでかなり変わりますわ。コート自体を作ろうとすれば、あっという間に工場がパンクしますわよ?」
「「それは困ります……」」
「それに、ほっかりシリーズの服やパジャマと言ったものも作らねばならない事を考えると、長袖のものやオシャレなベストを作るのが最適だと思いますわ。後は楽に作れるのは……腹巻や毛糸のパンツかしら」
「腹巻に」
「毛糸のパンツ」
「この二つで寒さは随分と違いますわよ?」
「腹巻と毛糸のパンツは、王太子領で売れそうだね。一度作ってみてくれないかい?」
「レインさん、よろしくてよ」
そう言うと、鞄の中に必要な物が入っているのを確認してから、その場で腹巻と毛糸のパンツを作って机にお出しすると、皆さん「なるほど」と言っていましたわ。
「女性は子供を産む事も考えると、下半身が冷える事が一番いけないことですわ。ですから毛糸のパンツは女性にとっては嬉しい商品だと思いますの。風邪を引かない為にも。また、腹巻はお腹を冷やさない効果がありますから、暖かく過ごせますわ」
「この程度なら工場でも作れそうです」
「ただ、デザインが」
「そこは、美女三人組に頑張って貰おうかと思いますわ」
「「それが良いね」」
ジャックさん、マリウスさん、ガストさんならば、色々可愛らしい物からスタイリッシュなものまで作ってくれそうですものね。最近は決まった物しか作ってなかったらしく、すっかりポンチョに夢中になっていますけれど、此れを出したら喜びそうですわ!
「今回は毛糸で作りましたけれど、ほっかり糸で作る伸縮性の高い腹巻は良いと思いますの。ただ、毛糸のパンツは柔らかいですから、女性の御尻を守る為にもここは毛糸が良いと思いますわ」
「なるほど」
「マフラーはこちらにもあるのでしょう? マフラーもほっかり布で作れたら最高ですわね」
「カイル君、マフラーと腹巻、毛糸のパンツとベストは是非、王太子領でも売りたいよ」
「ん――……そうしたいのは山々なんだが、王太子領の宿屋協会からもほっかりシリーズ一式の大口依頼がな」
「来ましたか」
「500セットきてる」
「……無理を言ってすみませんでした。終わってからでいいのでお願いします」
「そう言ってくれると助かる」
「今から美女三人に毛糸のパンツと腹巻、それにベストとマフラーを頼んで作って貰っておけば、多少なりと余裕が出来るのではなくて? それにお年を召した裁縫師さんたちも作れると思いますわ」
「分かった、箱庭体制はリディアに任せる」
「了解ですわ」
――こうして、今後も問題点及び、今後必要になってくるもの等話し合った結果――。
ほっかりシリーズがやはり多く、それに合わせて暖かなパジャマやポンチョ、ベストに腹巻毛糸のパンツと並びましたの。
後はそうですわね……。
「王太子領では、薬局はどうですの?」
「王太子領の薬局は普通だよ。皆しっかり薬を作っている」
「では、ダンノージュ侯爵領での問題ですのね。カイル、明日アラーシュ様にお会いになってきてね」
「分かった。リディアは美女三人に仕事を頼む。ライトは薬局を早めに作って貰えるようにしてくれ」
「分かりました」
「他に無さそうならば――以上終わり!」
こうして話し合いは終わり、本日の晩御飯は外の寒さで震える朝をどうすればいいか悩んで、このメニューはどうかとお出しした――【おでん】ですわ。
ダンノージュ侯爵領の飲食店でお出しするものですけれど、どうかしら……反応が今から楽しみですわ!!
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寒さ対策と小説では言いつつ、リアルでは夏に向かってますね。
虫が大嫌いな私の寿命を削ってくる夏がやってくる(セ〇)
しかしお庭の手入れはしたいので、住宅街に悲鳴を轟かせながら頑張ります。
夏場でも冷房で冷えたりしますし、寒さ対策って大事ですよね。
私は一年中、絹の手袋しながらのパソコン作業ですが寒さ対策です。
冷房で冷えるぅぅ。
夏場にしもやけと言うレアな光景を見た夫が驚いていましたw
寒さ対策アイテムまだまだありますよね!
それらを出していきたいと思います(`・ω・´)ゞ
流石にホッカイ〇は出しませんが。
何時も☆や♡有難うございます。
励みになっております!
ボチボチ小説も進んでいきますので、楽しんで頂けたら幸いです!
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