第120話 【アカサギ商店】との米やその他の取引。

ついに、ついに【アカサギ商店】から連絡があったとカイルから連絡がありましたわ!

二人で急いで着替えを済ませて商業ギルドへと箱庭経由で向かうと、ギルド職員の方は快くわたくし達を迎え入れてくれましたの。

さぁ、何処ですの!?

米を取り扱っている商店の方々は!

目を爛々と輝かせているのが見えたのか、カイルから頭を撫でられ「少しだけ落ち着こうな?」と声を掛けられてしまいましたわ。

そうね、落ち着いて必ずや米をゲットしなくては。

深呼吸を繰り返し、やっと落ち着きを取り戻したころ案内された部屋に通されると、異国情緒あふれる服装の若い男性が椅子から立ち上がりお辞儀を為さいましたわ。



「挨拶有難う御座います。私はダンノージュ侯爵家のカイル、隣は婚約者のリディアです。どうしてもあなたの商店が持っているある物が欲しくて来て頂きました」

「初めまして、リディアです」

「私は【アカサギ商店】の会長、ナギサと申します。ギルド職員様より、米を所望だと言うお話と、家で取り扱っている商品を知りたいとの事でしたので急ぎ参りました」

「では、色々お話ししましょう」



そうカイルが言うと席に座り、ナギサさんも椅子に座りましたわ。

すると、ナギサさんは二枚の紙をわたくし達に手渡してきましたの。



「こちらが、我が商店で取り扱っている商品一覧となります。まだまだ若輩の商店ですので、品数は少ないのですが」

「でも、箱庭経由で他の国とのやり取りをしていると聞いていますよ」

「拝見させて頂きますわね」



ニッコリと笑うと、他に求めている商品がないかをチェックですわ!

一覧には東方の品々が沢山書かれていますわね。

東方とは日本に近い文化を持つ国々ですわ。これは期待大。

早速米を発見、それに味噌に醤油、みりんまで! 粉末だしまでありますわ!!

なんてこと……【アカサギ商店】は正に、パラダイスですわ!!

これで和食が一気に……いいえ、丼定食が出来上がりますわね!!



「素晴らしいわ……」

「リディア?」

「是非、アカサギ商店と提携して色々品物を購入したいですわ。米は無論、味噌に醤油、みりんに粉末だしは必須ですの」

「そちらの品々は中々売れない商品ですが……」

「大丈夫です、わたくしが売りまくって差し上げますわ」

「では、これらの商品の使い方も、」

「存じ上げておりますわ」

「博識なのですね。王都では全く売れずどうしたものかと思っていたのですが、相手側からは沢山買って欲しいと言われて大量に余っているんです」

「余る? これからは足りなくなると思いますわ」

「そんなにですか!?」

「ええ、焼肉定食にも使いますし、カレーにも使いますし、兎に角、わたくし達サルビアが求めていた商品が沢山ありますの。商品は幾つか持ってきておりますかしら?」

「はい」

「では、米と醤油、味噌にみりん、粉末だしを1ダースまずは頂けるかしら? 無論買いますわ、お幾らになるのかしら?」

「海を越えての商品ですので、米が20キロで銀貨2枚、醤油や味噌といったものは、銅貨50枚となります。それを1ダースと言う事は……」

「米は精米されているのかしら」

「精米……ですか? 精米はしていません」

「尚更欲しいですわ。今度新しい店に米専門料理店サルビアと言うのを作る予定にしてますの。米も味噌も醤油も、大量に仕入れたく思いますわ」

「有難うございます!」

「カイル、アカサギ商店と契約しましょう。今すぐに」

「わ、解かった」



こうして、わたくしたちはついに、ついに――米や味噌といった和食に必須な物をゲットしましたわ!!

それに、ワサビにショウガまでおいてあるじゃありませんの!

もう此処とは長くお付き合いしそうですわね!!

それからナギサさんから先ほど言った商品を1ダース買い、即支払いを済ませると、今後大量仕入れになると言う事も伝え、店が出来上がった際には是非、一度食べに来て欲しいと伝えて終わりましたわ。

鞄の中には大量の求めていたモノが……ふふふふふ。



「リディア、本当に大丈夫なのか?」

「大丈夫ですわ。何でしたら本日の夜はわたくしが調理師スキルを持つ方々と、これらの物を使って料理を作りますわよ」

「リディアの料理は楽しみだが」

「任せてくださいませ、牛丼と言う素晴らしさを教えて差し上げますわ」



今夜は牛丼で決まりですわね。

となると――今回集まる王太子領の方々も呼んで食べて貰いましょう。

きっと驚くはずですわ!

その前に精米機を作りましょう。

精米機はやり方は簡単ですから、保護した女性達の仕事にすれば問題ないですわね。

そんな事を思いつつ箱庭に戻ると、ロストテクノロジーを使い精米機を休憩エリアから少し離れた場所に作ると、子供達と保護している女性やお年寄りたちが集まってまいりましたわ。



「リディア様、新しい商売のタネを見つけたの?」

「これは何かの種なの?」

「これは籾殻に包まれた米ですわ。これで皆さんに美味しいものを作りますからね」

「たのしみー」

「夜までお待ちくださいませね? それから保護している女性達には是非、精米機で米を精米する仕事をして頂きたいの。米は精米したてが美味しいんですのよ。出てきた籾殻はこちらの麻袋にドンドン入れてくださいませ」

「分かりました」

「引き受けます」

「リディア様、もみがら? っていうのは何になるの?」

「これは色々な使い方がありますけれど、燃やした籾殻を畑にまいて耕すだけでも肥料になりますのよ」

「「「すごーい!」」」

「農村では作物が育ちにくい場所もありますでしょうから、その為に取っておきますわ。もし困っている農民がいらっしゃったら、タダで差し上げれるようにね」



そう、この世界では育ちにくい畑や土地で生活している人たちはとても多い。

その為にもこういうものは無駄だと思ってもとっておくことが大事ですわ。

それに、火をおこす際にも使い勝手が良いですものね。



「それではカイル、他にやるべきことがあるのではなくて?」

「ああ、お爺様の所に行って、場所を買ったこと伝えてくる。後は商業ギルドに向かって建築士を契約雇用できるか聞いてくるよ」

「お願いしますわね。早めに薬師と絵師、調理師も欲しいわ」

「まずは店を作ってからな。どれくらいかかるか分からないから」

「それもそうでしたわね、でも早めの募集は必要ですわ」

「出来るだけ早くな、じゃあお爺様に伝えてくるよ」



そう言うとカイルはアラーシュ様のもとへと向かい、わたくし達は精米機で初めての白米作りに精を出しましたわ。

無論、皆さんは興味津々の様子。

精米して出来た白米は厚手の紙で出来た袋に入れて貰う事にしましたわ。

一袋20キロ。これがあっという間に消えるんでしょうね。

でも20キロの袋が1ダース……ふふふ、色々な料理を皆さんで食べれそうですわね!

そこで、ロストテクノロジーから米料理や味噌汁と言った和食系の本を制作すると、奥様方は興味津々でしてよ!!



「こんなに沢山の料理が作れるようになるんですか?」

「このみりんや醤油や味噌に粉末だしで?」

「ええ、和食と言いまして、これらは食べても太りにくいと言うのもポイントですわ。女性には嬉しいのではなくって?」

「「「「最高ですね」」」」

「それに、今までにない味覚の【旨味】と言うのも味わえると思いますわ。癖になると抜け出せないものですわよ」

「楽しみです!」

「では、今日のお昼はこのお味噌や醤油とかを使っても?」

「ええ! お米はそうですわね。土鍋で作りましょうか。作り方はこのページに」

「分かりました。人数分の物を用意しますね」

「今日の昼は、皆さんで是非和食を楽しんでくださいませ。もしよろしければ少し多めに作って貰っても構わないかしら? 夜、王太子領の皆さんにもお出ししたいの」

「「分かりました」」



――こうして、昼は全員で簡単な和食料理から作って食べましたけれど、美味しかったですわ……。

嗚呼、わたくしの日本人だった頃の感覚がドンドン蘇りますわね。

インスピレーションが湧き上がりそうですわ。

そうそう、薬師と言えばうちの薬師はどうなってますでしょうか。

様子を見に行きましょう。




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本日二回目の更新です。

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